Web制作2026.09.24·9 min read·Nortiq Labs

ホームページ制作の著作権|写真素材の利用範囲と契約

納品されたホームページの著作権は誰のものですか?

契約で譲渡を定めていなければ、制作会社に残るのが原則です。制作費を支払ったことと、著作権が移ることは別の話になります。

御社が「自社のサイトだから自由に使える」と考えていても、法律上はそうならない場合があります。まず前提を整理します。

制作費を払えば自社のもの、ではない

著作権は、作った人に発生します。外部に制作を依頼した場合、作ったのは制作会社です。

支払った制作費は、サイトを作って公開できる状態にする対価です。そこに著作権の譲渡が含まれるかどうかは、契約書に書かれているかで決まります。

この違いが表に出るのは、サイト以外で使いたくなったときです。パンフレット、会社案内、展示会のパネル、SNSの投稿画像といった場面が該当します。

譲渡と利用許諾の違い

契約には2つの形があります。中身が大きく異なります。

形 内容 御社ができること
著作権の譲渡 権利そのものが御社に移る 原則として自由に使えます
利用許諾(ライセンス) 決められた範囲で使う許可を得る 許可された範囲だけ使えます

多くの制作契約は、利用許諾の形か、譲渡の範囲が限定された形になっています。譲渡と書かれていても、範囲に条件が付いていることがあります。

さらに、譲渡の条項には注意点があります。根拠は著作権法第61条第2項です。譲渡の契約で第27条と第28条の権利が特掲されていない場合があります。そのとき、これらの権利は譲渡した側に留保されたものと推定されます。

出典: 著作権法第61条第2項(e-Gov法令検索)

第27条は翻案権などを、第28条は二次的著作物の利用に関する権利を指します。平たく言えば、作り変えて使う権利です。

つまり「著作権を譲渡する」とだけ書かれた契約に注意が要ります。デザインを作り変えて別の媒体に使う権利が、制作会社に残っていると推定される可能性があります。そのまま使う分には問題が起きにくい一方、手を加えて使う場面で問題になります。

契約書のどこを見ればよいかは、次のセクションで整理します。

契約書のどこを見れば利用範囲が分かりますか?

著作権の帰属条項と、素材の利用条件を定めた条項の2か所を見ます。この2か所が無い契約書も珍しくありません。

見出しの文言は契約書によって変わります。「知的財産権」「成果物の権利」といった表現になっていることもあります。

確認する3つの条項

次の3つを順に探します。所要時間は15分ほどです。

  1. 著作権の帰属を定めた条項。「本件成果物の著作権は」で始まる条文です。譲渡なのか、利用を許諾するのかを読み分けます。
  2. 第27条と第28条の特掲の有無。譲渡と書かれている場合、この2つの条文番号が明記されているかを確認します。無ければ、作り変えて使う権利は制作会社に残っていると推定される可能性があります。
  3. 素材の取り扱いを定めた条項。写真、イラスト、フォント、動画について、別の定めが置かれていることがあります。

2番は見落としやすい箇所です。条文番号が並ぶため、読み飛ばされがちです。契約書の検索機能で「第27条」と探すと確実です。

3番が無い場合は、素材の扱いが決まっていない状態になります。素材については次のセクションで詳しく説明します。

特掲が無い場合に起きること

具体的な場面で考えます。次のような整理になります。

やりたいこと 特掲がある譲渡 特掲が無い譲渡
サイトをそのまま公開し続ける できます できます
サイトの画像をそのまま会社案内に載せる できます 確認が必要です
デザインを別の配色に作り変えて使う できます 確認が必要です
他の制作会社にリニューアルを依頼する できます 確認が必要です

右の列の「確認が必要です」は、必ずできないという意味ではありません。制作会社に確認し、問題なければ進められる場面もあります。ただし、確認しないまま進めると後で指摘を受ける可能性が残ります。

実務上は、契約書を確認した結果を記録に残しておくことをおすすめします。担当者が替わったときに、また同じ確認からやり直すことになるためです。

なお、制作会社を変える場面では、著作権とあわせてドメインとアクセス解析の権限も確認します。JPドメイン名では、管理指定事業者の変更に認証コード(AuthCode)が使われます。利用が開始されたのは2022年11月13日です。

出典: JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」

Search Consoleのプロパティに対する役割は、所有者とユーザの2種類です。

出典: Google「所有者、ユーザー、権限の管理」Search Console ヘルプ

引き継ぎの手続き全体については、当社の別記事で一覧にまとめています。

写真やイラストの素材は、なぜ別扱いになりますか?

制作会社が第三者から利用許諾を受けて使っている場合があるためです。制作会社自身が権利を持っていない素材は、譲渡のしようがありません。

契約書で著作権の譲渡を受けていても、素材だけは範囲外になっていることがあります。ここが転用の場面で最も引っかかる箇所です。

素材の出どころは3種類ある

サイトに載っている画像は、出どころによって扱いが変わります。

出どころ 権利を持つ人 他の用途に使えるか
御社が用意した写真 御社(撮影者との取り決めによります) 使えます
制作会社が撮影・作成したもの 制作会社(譲渡の有無によります) 契約次第です
ストックフォトなどの購入素材 素材の提供元 提供元の利用規約によります

3番目が最も注意を要します。制作会社がストックフォトのライセンスを購入して使っている場合、そのライセンスは制作会社に紐づいています。御社が別の媒体で使うには、条件を確認する必要があります。

まず確認するのは、サイトで使われている画像がどれに当たるかです。制作会社に素材の一覧を出してもらってください。ファイル名と出どころが分かる形が望ましいところです。所要時間は、依頼してから数日ほどです。

ストックフォトの利用条件

購入素材には、用途ごとの条件が付きます。代表的な観点は次の4つです。

  1. 媒体の範囲。Webのみか、印刷物も含むかが分かれます。
  2. 使用の期間。無期限か、一定期間かが分かれます。
  3. 点数や部数の上限。印刷物では部数の上限が設けられることがあります。
  4. 改変の可否。トリミングや色調整まで含めて、どこまで手を加えてよいかが決まります。

これらは素材提供元の利用規約で決まります。制作会社が「使ってよい」と言っても、規約が優先されます。転用の前に、どの提供元のどのライセンスかを確認してください。

素材の準備は、費用の面でも影響します。サイトの制作では、素材の準備が契約の範囲外にあると、追加費用の原因になります。撮影や素材の購入が別途見積もりになる構造です。

なお費用の面では、補助金の対象範囲にも注意が要ります。中小企業庁の「IT導入補助金2024」の公募要領を見ます。通常枠では、ホームページの制作費、デザイン費、コーディング費は補助の対象に含まれません。

出典: 中小企業庁「IT導入補助金2024」の公募要領

素材の購入費を補助金で賄う前提を置くと、計画が崩れる場合があります。対象の可否は申請の年度ごとに確認してください。

他の用途に使いたいとき、何を確認しますか?

用途ごとに、媒体、期間、地域、改変の可否の4点を確認します。この4点は、権利の話をするときの共通の物差しです。

「使ってよいか」とだけ聞くと、答える側も判断できません。4点を具体的に伝えると、確認が早く進みます。

確認する4点

制作会社または素材の提供元に確認する際は、次の形で聞きます。

  1. 媒体。Webサイト、印刷物、展示物、動画、SNSのいずれかを具体的に挙げます。つまずきやすい点は、SNSの投稿画像が印刷物とは別扱いになる場合があることです。
  2. 期間。いつまで使うかを伝えます。無期限で使いたい場合は、その旨を明記します。
  3. 地域。国内のみか、海外も含むかを伝えます。多言語サイトや海外展示会で使う場合に関わります。
  4. 改変の可否。トリミング、色の変更、文字の追加まで含めて、どこまで手を加えるかを伝えます。

4番は、前のセクションで触れた第27条の話につながります。作り変えて使う権利が誰にあるかという論点です。

確認の依頼は、メールなど記録が残る形で行ってください。口頭での了解は、担当者が替わると確認のしようがなくなります。

よくある転用の場面

実際に相談が多い場面を挙げます。それぞれ確認する観点が異なります。

場面 主に確認する点
会社案内のパンフレットに使う 媒体(印刷物)、部数の上限
展示会のパネルに引き伸ばす 媒体、改変の可否、解像度の提供
SNSの投稿画像に使う 媒体、改変の可否
採用サイトを別に作って流用する 媒体、改変の可否、期間
他社に依頼してリニューアルする 改変の可否、素材データの提供

最後の場面は、権利の確認が最も重要になります。既存のデザインを踏まえて作り直す作業は、改変にあたる可能性があるためです。

いずれの場面でも、元データが手元にあるかどうかも確認してください。書き出し済みの画像しか無い場合、印刷に耐える解像度が足りないことがあります。データの提供は、権利とは別に取り決めが必要です。

発注の段階で、何を取り決めておきますか?

著作権の帰属、素材の利用範囲、制作会社の実績掲載の可否の3点を書面にします。納品後に交渉するより、発注前のほうが決めやすくなります。

すでに納品済みの場合も、次の発注や保守契約の更新に合わせて整理できます。

契約書に入れる3点

次の形で書面に残します。文言は制作会社の契約書に合わせて調整してください。

  1. 著作権の帰属。譲渡を求める場合は、第27条と第28条を特掲します。「著作権法第27条および第28条に定める権利を含む」という一文が入っているかを確認してください。
  2. 素材の利用範囲。サイト以外での利用を想定するなら、媒体、期間、地域、改変の可否を明記します。購入素材が含まれる場合は、その素材だけ別扱いになることも書いておきます。
  3. 実績掲載の可否。制作会社が自社サイトやSNSで実績として紹介してよいかを決めます。公開前の情報が外に出ると困る場合は、時期の条件も付けます。

3番は権利の話ではありませんが、同じタイミングで決めておくと後の連絡が減ります。掲載を断ることもできます。

譲渡を求める場合、費用が上がることがあります。制作会社にとっては、同じデザインを他の案件で使えなくなるためです。予算と照らして、譲渡まで求めるか、必要な範囲の利用許諾にとどめるかを判断してください。

実務では、次の考え方が現実的です。

御社の状況 おすすめの形
サイト以外で使う予定が無い 利用許諾で足ります
パンフレットなど他の媒体でも使う 媒体を列挙した利用許諾、または特掲付きの譲渡
将来のリニューアルを他社に頼む可能性がある 特掲付きの譲渡を検討します
ロゴなど長く使うものを含む ロゴだけ切り出して特掲付きの譲渡にします

最後の行は、費用を抑えつつ必要な権利を確保する形です。サイト全体の譲渡は求めず、長く使うものだけ範囲を分けます。

つまずきやすい点

最も多いのは、素材の条項が抜けたまま契約するケースです。著作権の帰属だけを決めて安心してしまう形になります。

前のセクションで見たとおり、購入素材は制作会社も自由にできません。契約書に「第三者の権利が及ぶ素材については別途協議する」といった一文があるか確認してください。無ければ、素材の一覧と出どころを納品物に含めるよう依頼します。

もう1点は、フォントです。Webサイトで使うライセンスと、印刷物で使うライセンスが別になっている場合があります。ロゴに使われているフォントは、特に確認しておく価値があります。

あとから利用範囲を広げることはできますか?

できますが、素材の種類によっては追加費用が発生します。制作会社が自社で作ったものと、購入素材とで事情が変わります。

すでに納品済みでも、諦める必要はありません。順を追って確認すれば、多くの場合は整理できます。

追加費用が出る場面

費用が発生しやすいのは、次の3つです。

場面 費用の性質
購入素材のライセンスを買い直す 素材提供元への支払いです
元データの書き出しや入稿用データの作成 制作会社の作業費です
著作権の譲渡に切り替える 権利の対価です

1番は制作会社の取り分ではありません。提供元の価格表で決まるため、交渉の余地が小さい部分です。印刷用のライセンスは、Web用より高いことがあります。

2番は作業の対価です。契約の範囲外にある作業が追加費用になる構造で、素材の準備はその代表例にあたります。あらかじめ想定しておくと、予算の見通しが立ちます。

3番は交渉の余地があります。ただし制作会社にとっては、そのデザインを他で使えなくなる話です。必要な範囲だけに絞るほうが、合意しやすくなります。

なお、これらの費用を補助金で賄えるとは限りません。中小企業庁の「IT導入補助金2024」の公募要領を見ます。通常枠では、ホームページの制作費、デザイン費、コーディング費は補助の対象に含まれません。

出典: 中小企業庁「IT導入補助金2024」の公募要領

補助の対象は申請の年度と枠によって変わります。最新の公募要領で確認してください。

交渉するときの進め方

順番があります。次の流れで進めると話が早く終わります。

  1. やりたいことを具体的に書き出す。どの画像を、どの媒体で、いつまで、改変ありで使うかを1枚にまとめます。所要時間は30分ほどです。
  2. 制作会社に素材の一覧と出どころを依頼する。自社で作ったもの、購入素材、御社が提供したものに分けてもらいます。
  3. 購入素材については、提供元と現在のライセンスの種類を確認する。ここで費用が読めます。
  4. 必要な範囲を絞り込み、見積もりを依頼する。全部を譲渡するより、使う画像だけ範囲を広げるほうが安く済みます。

1番を省くと、話が抽象的なまま往復します。使いたい画像のファイル名まで具体化してください。

ホームページの権利関係は、発注のときに少し手をかけておくだけで、後の選択肢が大きく変わります。当社では制作の段階から、御社が将来どう使うかを確認したうえで契約の範囲を決めています。既存サイトの権利関係を整理したい場合も対応していますので、無料診断からご相談ください。

ソースコードやシステムの権利については、当社の別記事で整理しています。あわせてご覧ください。

よくあるご質問

この記事に関して多い質問と回答をまとめます。

制作費を支払えば著作権は自社に移りますか

移りません。契約書に譲渡の定めが無ければ、著作権は制作会社に残るのが原則です。

譲渡と書かれていても、範囲の確認が要ります。著作権法第61条第2項では、第27条と第28条の権利が特掲されていない場合、これらの権利は譲渡した側に留保されたものと推定されます。

出典: 著作権法第61条第2項(e-Gov法令検索)

納品されたデザインをパンフレットに使ってもよいですか

契約の内容によります。まず著作権の帰属条項と、素材の取り扱い条項を確認してください。

デザインの権利が御社にあっても、使われている写真が購入素材であれば別の確認が要ります。印刷物での利用が、素材のライセンスに含まれているかを提供元の規約で確認します。

制作会社が撮影した写真を自社のSNSで使えますか

撮影した写真の権利が譲渡されていれば使えます。譲渡されていない場合は、利用許諾の範囲に含まれるかを確認します。

あわせて、写真に人物が写っている場合は肖像権の確認も要ります。撮影時にどの範囲での使用を説明していたかによって、扱いが変わります。社員が写っている写真も同様です。

著作権を譲渡してもらうと費用は上がりますか

上がる場合があります。制作会社にとっては、そのデザインを他の案件で使えなくなるためです。

費用を抑えたい場合は、全体の譲渡ではなく範囲を絞る方法があります。ロゴだけ譲渡を受ける、使う媒体を列挙した利用許諾にするといった形です。

制作会社が実績としてサイトを掲載するのを断れますか

断れます。ただし契約書に「実績として掲載できる」旨が書かれている場合は、事前に協議が必要です。

公開前の情報を出されると困る場合は、掲載してよい時期を条件に付ける形もあります。発注の段階で決めておくと、後の連絡が減ります。

契約書が手元に無い場合はどうすればよいですか

制作会社に控えの提供を依頼してください。見積書や発注書に権利の記載があることもあります。

書面が一切見つからない場合は、現状の利用範囲を制作会社と確認し、あらためて書面にすることをおすすめします。保守契約の更新や次の発注のタイミングであれば、話を切り出しやすくなります。

関連リンク

監修: 株式会社ノーティックラボ 代表(AIエンジニア)
本記事はAIを活用して制作しています

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