IT導入補助金2025でホームページ制作・リニューアルは補助対象になる?

ホームページ制作・リニューアルは、一定の要件を満たすITツールとして登録されている場合に限り補助対象になります。ただし「ホームページ制作そのもの」は原則として対象外であり、何が対象になり何がならないかを正確に把握することが申請の第一歩です。

IT導入補助金2025(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を国が一部補助する制度です(出典:中小企業庁「IT導入補助金2025の概要」)。補助率は枠によって異なり、通常枠A類型では補助額5万円以上150万円未満・補助率1/2以内、B類型では補助額150万円以上450万円以下・補助率1/2以内が設定されています。補助枠の詳細は後述します。

「補助対象になる」ケースの条件

補助対象になるのは、ホームページが「業務プロセスに紐づくシステム」を伴う場合です。

IT導入補助金の補助対象は、原則として「登録されたITツール(ソフトウェア・クラウドサービス等)」です(出典:中小企業庁「IT導入補助金2025の概要」)。ホームページが以下の機能を持ち、かつIT導入支援事業者(登録ベンダ)がそのツールを補助金事務局に登録している場合に限り、補助対象として認められる可能性があります(出典:so-labo「IT導入補助金はホームページ製作も対象になる?」)。

機能の種類 具体例 補助対象の可能性
EC・販売機能 商品販売カート、決済連携 あり
予約・申込機能 来店予約、セミナー申込フォーム あり
顧客管理機能 会員登録、マイページ あり
コンテンツ管理(CMS) WordPress等による情報発信 要件次第
デザインリニューアルのみ 見た目の刷新 なし

補助を受けるための前提条件を整理すると、以下の3点すべてを満たす必要があります。

  1. 制作するホームページが業務プロセスの改善・効率化に直結する機能を持つ
  2. 対応するIT導入支援事業者(登録ベンダ)がツールを補助金事務局に事前登録している
  3. 交付申請を発注・契約・支払いより前に完了している

「補助対象にならない」ケースの条件

以下に該当する場合は、申請しても対象外と判定されます。

  • デザインリニューアルのみ:見た目の刷新や画像差し替えは「ITツールの導入」に該当しない
  • IT導入支援事業者に未登録の制作会社への発注:登録ベンダ以外に発注した場合は申請不可(出典:PRONIアイミツ「IT導入補助金でホームページ制作は可能?」)
  • 交付決定前に着工・発注した場合:事前申請が大原則であり、先に発注すると補助金は受けられない
  • コーポレートサイトの情報発信機能のみ:業務プロセスとの紐づきが薄い場合は審査で対象外となるリスクがある

対象・対象外の境界線は「業務プロセスの改善に直接寄与するか」という実質的な判断に基づきます。申請前にIT導入支援事業者と要件を確認することが、採択後の交付取消しリスクを防ぐ最も確実な手段です。なお、申請ステップの詳細は後述のセクションで解説します。

注記: 本セクションの金額・補助率・要件は、中小企業庁「IT導入補助金2025の概要」(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it_summary.pdf)に基づく2025年時点の情報です。最新の公募要領は公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)でご確認ください。

IT導入補助金2025の枠別・補助率と補助上限額は?

2025年公募における補助率・上限額は枠によって異なり、通常枠(A・B類型)とインボイス枠・セキュリティ対策推進枠では条件が大きく変わります。ホームページ制作を補助金活用で検討する場合、まず自社が申請すべき枠を特定することが先決です。

通常枠(A類型・B類型)の概要

中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業 IT導入補助金2025の概要」(令和7年10月、以下「概要資料」)によると、通常枠の補助率は2分の1以内と定められています。

補助上限額と対象ツール区分はA類型・B類型で異なります。

類型 補助率 補助下限額 補助上限額 主な対象ツール区分
A類型 1/2以内 5万円 150万円未満 1〜2区分のITツール
B類型 1/2以内 150万円 450万円 複数区分・複数ツール

※上記は概要資料(令和7年10月)時点の情報です。最新の補助上限額・区分要件は公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)で必ず確認してください。

ホームページ制作をA類型で申請する場合、補助対象経費が10万円であれば補助額は最大5万円、50万円であれば最大25万円という計算になります。ただし、補助対象と認められる経費の範囲はツール登録内容によって異なるため、ベンダとの事前確認が不可欠です。

B類型は複数のITツールをまとめて導入する場合に向いており、ホームページ制作と顧客管理システム(CRM)を同時導入するようなケースで活用しやすい枠です。

インボイス枠・その他枠とホームページの関係

インボイス枠は、インボイス制度への対応を目的とした会計・受発注ソフトの導入を主な対象としています。ホームページ制作がこの枠の主たる補助対象になることは想定されていません。

セキュリティ対策推進枠は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定める「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入費用を補助するものです。こちらもホームページ制作費そのものは対象外となります。

各枠の位置づけを整理すると、以下のとおりです。

ホームページ制作の補助可否 主な目的
通常枠(A・B類型) 要件を満たせば対象になりうる 業務効率化・売上向上
インボイス枠 原則対象外 インボイス制度対応
セキュリティ対策推進枠 対象外 サイバーセキュリティ対策

ホームページ制作でIT導入補助金を活用したい場合は、通常枠(A・B類型)が唯一の選択肢と考えてください。そのうえで、セクション1で触れた「業務プロセス連動の機能要件」を満たすことが、採択の前提となります。

対象事業者の要件(資本金・従業員数など)については次のセクションで詳しく説明します。

対象事業者の要件は?中小企業・小規模事業者の確認ポイント

IT導入補助金の対象は中小企業・小規模事業者等であり、資本金・従業員数の基準を業種ごとに満たす必要があります。申請前に自社が対象に含まれるかを確認することが、手続き全体の出発点です。

業種別の資本金・従業員数の基準

中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業 IT導入補助金2025の概要」(令和7年10月)によると、対象事業者は中小企業基本法に定義される中小企業者および小規模事業者等とされています。業種ごとの資本金・常時使用する従業員数の基準は以下のとおりです。

業種 資本金の上限 従業員数の上限
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業(下記を除く) 5000万円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業(自動車・航空機用を除く) 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5000万円以下 200人以下

資本金・従業員数のいずれかが基準内であれば対象となる「いずれか要件」ではなく、「資本金または従業員数のどちらかが基準以下」を満たせば対象となります。自社の業種区分が不明確な場合は、日本標準産業分類を参照するか、IT導入支援事業者(ベンダ)に確認することを推奨します。

また、以下の事業形態も対象に含まれます。

  • 小規模事業者(商業・サービス業:5人以下、製造業その他:20人以下)
  • 医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)など

一方、大企業の子会社で実質的に大企業が経営を支配している法人は、資本金・従業員数が基準内であっても対象外となる場合があります。


2025年公募時点の情報です。最新の要件は公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)でご確認ください。


法人・個人事業主それぞれの注意点

法人と個人事業主では、申請時の必要書類や確認事項が異なります。主な相違点を以下に整理します。

法人の場合

  1. 法人番号が必要(国税庁の法人番号公表サイトで確認可)
  2. GビズIDプライムアカウントの取得が必須。法人の場合は登記情報との照合が行われます(出典: GビズID公式サイト https://pr.gbiz-id.go.jp/by-industry/subsidy-application/index.html)
  3. 直近1期分の決算書類(貸借対照表・損益計算書)の準備が求められます
  4. 資本金の確認は登記簿謄本または定款で行います

個人事業主の場合

  1. GビズIDプライムアカウントの取得が必須。個人事業主はマイナンバーカードまたは住民票で本人確認を行います
  2. 確定申告書(直近1期分)の提出が求められます
  3. 開業届の写しが必要になる場合があります
  4. 屋号がある場合は屋号名義での申請も可能ですが、申請者本人の名義と一致していることが前提です

個人事業主であっても、業種・規模の要件を満たせばIT導入補助金の申請は可能です。ただし、GビズIDプライムアカウントの取得には数週間を要するケースがあるため、申請スケジュールを逆算して早めに準備を進めることが重要です。

補助率や補助上限額の詳細は前セクションで整理していますが、対象外の判定や交付取消しにつながる申請上の注意点については後述の「申請でよくある失敗と事前に防ぐチェックポイント」で詳しく取り上げます。

費用相場と補助金活用後の実質負担額はどのくらい?

ホームページリニューアルの費用相場は規模・目的によって幅があり、補助金を組み合わせた場合の実質負担を事前に試算しておくことが重要です。


規模別・目的別のリニューアル費用相場

費用の目安は、サイトの規模とページ数によって大きく変わります。下表は、複数の制作会社メディアの掲載情報をもとにした参考値です(公的統計ではありません)。

規模 ページ数の目安 費用の目安 主な用途
小規模 10ページ前後 30万円〜100万円 コーポレートサイト、サービス紹介
中規模 30〜50ページ 100万円〜300万円 採用・製品・サービスを複数展開する企業
大規模・EC 50ページ超 300万円以上 ECサイト、会員サービス、多機能サイト

出典: 株式会社GIG「ホームページのリニューアル費用の相場と内訳」、lany「サイトリニューアル費用相場とは?」、ferret One「サイトリニューアル費用相場とは?」ほか複数制作会社メディアの掲載情報。発注要件や制作会社によって実際の費用は異なるため、複数社からの見積もり取得を推奨します。

なお、医療・飲食・不動産など業種ごとの相場を示す情報は一部制作会社メディアに存在します。ただし、調査手法やサンプル数が明示されていないものが多く、現時点では参考値として扱うことが適切です。


補助金適用後の自己負担額の試算例

中小企業庁が所管するデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の通常枠では、補助率2分の1以内・補助上限150万円未満でITツール導入費用の一部が補助されます(出典: 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」公式サイト https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/。2026年度制度情報。最新は公式サイトで確認してください)。

この条件をもとに、実質負担額を規模別に試算すると以下のとおりです。

規模 制作費の例 補助額の目安(上限内・補助率1/2) 自己負担の目安
小規模 60万円 30万円 30万円
中規模 200万円 100万円 100万円
中規模(上限到達) 300万円 150万円未満 150万円超

※補助額は補助率1/2かつ上限150万円未満の範囲内で計算した目安です。実際の補助額は審査結果・交付決定内容によって異なります。

試算から読み取れるポイントは2つあります。

  1. 制作費が300万円を超えると補助上限に達し、上乗せされない部分が増える。 予算配分を最適化するには、補助対象経費の範囲をベンダと事前に精査することが重要です。
  2. 小規模サイト(60万円前後)では自己負担を半減できる可能性がある。 ただし、補助対象となる機能要件を満たすことが前提です。補助対象の条件については「IT導入補助金2025でホームページ制作・リニューアルは補助対象になる?」のセクションで詳しく説明しています。

費用相場はあくまでも参考値です。御社のサイト規模・必要機能・対応するIT導入支援事業者の料金設定によって実際の数値は変わります。補助金を活用した実質負担の試算は、IT導入支援事業者と見積もりを確認しながら行うことを推奨します。

申請でよくある失敗と事前に防ぐチェックポイントは?

採択後の交付取消しや対象外判定の多くは、「事前着手」「ツール未登録」「要件不備」の3つが原因です。申請前にこの3点を確認するだけで、無駄な差し戻しを大幅に減らせます。

交付申請前に必ず確認すべき3つの要件

以下の3点はいずれか1つでも欠けると補助対象外となります。補助金事務局への申請前に、チェックリストとして活用してください。

# チェック項目 よくある失敗例
1 交付決定前の着手禁止 発注・契約・着工のいずれかが交付決定通知より前の日付になっている
2 ITツールの事前登録 依頼した制作会社がIT導入支援事業者として登録されておらず、そもそも申請できない
3 業務プロセス改善要件 デザインリニューアルのみの案件で、EC・予約・顧客管理など業務効率化機能を備えていない

チェック1: 交付決定前の着手禁止

IT導入補助金では、交付決定通知を受け取る前に発注書・契約書を締結した場合、全額が補助対象外となります。「採択されたから進めて大丈夫」という判断は誤りで、採択通知と交付決定通知は別物です。交付決定通知を書面で確認してから、制作会社への正式発注に進んでください。

チェック2: IT導入支援事業者の登録確認

補助金の申請主体は中小企業・小規模事業者ですが、申請手続きはIT導入支援事業者を通じてのみ行えます。制作会社がこの登録を持っているかを、独立行政法人中小企業基盤整備機構が公開するITツール検索システムで必ず事前確認してください。口頭での「対応できます」は登録の有無を保証しません。

チェック3: 業務プロセス改善要件

補助対象ツールとして認められるためには、単なる情報発信サイトではなく、受注・予約・在庫・顧客管理など業務プロセスの改善に直結する機能が必要です。制作会社から受け取った提案書に、これらの機能が明記されているかを確認してください。機能要件と補助対象経費の詳細はセクション1で解説しています。


ノーティックラボが実装支援で見てきた現場の注意点

実装者として複数のデジタル化支援案件に関わるなかで、補助金申請の現場で繰り返し見てきた落とし穴があります。以下に代表的なものを挙げます。

見積書の費目分けが不十分なケース

補助対象経費と対象外経費(コンテンツ制作費や写真撮影費など)が一括見積もりになっていると、審査時に対象外費用が混入しているとみなされ、補助額が減額されることがあります。制作会社に依頼する段階で、費目を明確に分けた見積書を発行してもらうことが重要です。

GビズIDプライムの取得遅れ

申請にはGビズIDプライムアカウントが必要ですが、発行まで数週間かかる場合があります。公募スケジュールが発表されてから取得を始めると、締切に間に合わないケースが出てきます。補助金活用を検討した時点で、並行して取得手続きを始めることをお勧めします。

「補助金対応」を謳う業者への過信

「IT導入補助金対応」と案内している制作会社であっても、登録しているツールの機能要件やカテゴリが御社の用途と一致しない場合があります。ベンダが登録しているITツールの機能カテゴリと、自社の業務改善目的が対応しているかを、申請前に書面で確認してください。


以下のチェックリストを、制作会社への最終発注前に使ってください。

  • IT導入支援事業者の登録をITツール検索システムで確認した
  • 補助対象ツールとして登録されているITツールの機能カテゴリが自社用途と一致する
  • GビズIDプライムの取得が完了、または申請手続きを開始した
  • 発注書・契約書の締結日が交付決定通知日より後になることを確認した
  • 見積書で補助対象経費と対象外経費が費目ごとに分けられている
  • 補助事業の実施期間内に事業が完了できるスケジュールを制作会社と確認した

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