技術2026.10.12·9 min read·Nortiq Labs

中小企業のシステム担当者不在は27.5%|規模別の統計

従業員10人から29人では、48.2%がシステム担当者を置いていません

システム担当者が社内にいない中小企業は全体で27.5%です。従業員10人から29人の層では48.2%で、ほぼ半数に達します。出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)。

全体の27.5%と、規模別で最も高い48.2%

同じ調査の数値を規模別に並べると、次のようになります。

従業員規模 システム担当者がいない割合
全体 27.5%
10人から29人 48.2%
30人から49人 29.8%
50人から99人 20.1%
100人から299人 13.2%

全体の27.5%という数字だけを見ると、4社に1社の話に見えます。しかし規模を分けると様子が変わります。10人から29人の層では48.2%で、100人から299人の層の13.2%と比べて3倍以上です。

この数字が示すのは専任の不在ではなく担当者そのものの不在

この割合は、専任の担当者がいない企業の割合ではありません。専任、兼任、社外委託のいずれもいないと答えた企業の割合です。

つまり48.2%の企業では、システムのことを見る人が社内にも社外にも決まっていません。外部に委託していれば「いない」には数えられていません。定義の詳細は次のセクションで扱います。

図表1: 従業員規模別のシステム担当者不在率

横軸に従業員規模の4区分 (10人から29人、30人から49人、50人から99人、100人から299人) を取り、縦軸に不在率を取った棒グラフです。48.2%、29.8%、20.1%、13.2%と右肩下がりに並び、全体の27.5%を水平の基準線として重ねます。

このグラフから読めることは2つあります。ひとつは、規模が小さいほど不在率が高いという傾向です。もうひとつは、30人を超えたあたりで全体平均に近づくという段差です。自社の従業員数を横軸に当てて、同じ規模の企業がどうしているかを確かめる使い方ができます。

出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年、https://www.kubell.com/news/2025/12/research.html)

この数字はどの調査の、どういう問いによるものか

引用した割合は、kubellの調査によるものです。従業員10人から299人の企業を対象に、専任・兼任・社外委託のいずれもいない企業の割合を聞いています。

調査の対象と有効回答数、調査時期

調査の要件は次のとおりです。

  • 調査名: 中小企業のデジタル化に関するアンケート調査
  • 実施: 株式会社kubell
  • 時期: 2025年11月17日から19日
  • 対象: 従業員10人から299人の企業の経営者・管理職およびバックオフィス担当者
  • 方法: インターネット調査
  • 有効回答: 1,093件

従業員10人未満の企業は対象に入っていません。10人未満の層ではさらに不在率が高いことが考えられますが、この調査からは読み取れません。

出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)

「いない」の定義に兼任と社外委託を含む点

この調査が「いない」と数えているのは、専任の担当者も、兼任の担当者も、社外に委託している先もない企業です。

定義を確かめる意味は実務上あります。たとえば「情シスがいない」という言い方は、専任がいないだけの状態を指すことも多いためです。27.5%や48.2%は、それより厳しい状態の割合だと読むことになります。

調査ごとに定義が違うため単純比較ができない点

担当者の不在を扱う調査は複数あり、定義と対象が揃っていません。

調査 対象 数えているもの
kubellの調査 従業員10人から299人 専任・兼任・社外委託のいずれもいない企業の割合
ノークリサーチの調査 年商500億円未満の中堅・中小企業 情報システム担当者の人数と、専任か兼任か
東京商工会議所の調査 東京23区内の会員中小企業 業務のデジタル化の段階

対象の切り方が従業員数と年商と地域で違い、聞いている内容も人数と体制と段階で違います。したがって、別の調査の数値を並べて増えたか減ったかを論じることはできません。本記事でも、推移は同じ調査のなかで比べています。

規模が小さいほど不在率が上がります

不在率は従業員10人から29人で48.2%、30人から49人で29.8%、50人から99人で20.1%、100人から299人で13.2%です。規模が小さいほど高くなります。

規模別の4区分の数値

区分ごとの差を見ると、10人から29人と30人から49人の間に最も大きな段差があります。48.2%から29.8%へ、18.4ポイント下がります。

その後は29.8%から20.1%へ9.7ポイント、20.1%から13.2%へ6.9ポイントと、下がり幅が小さくなります。担当者を置くかどうかの分かれ目が、30人前後にあるように見えます。

出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)

同じ調査で見るデジタル利用の状況

同じ調査では、日常的な取引や情報管理にデジタルを利用していない企業の割合も示されています。口頭、メール、電話、FAX、紙に頼っていると答えた割合です。

従業員規模 デジタルを利用していない割合
全体 46.0%
10人から29人 53.2%
100人から299人 37.4%

30人から49人と50人から99人の区分については、この項目の数値が公表されていません。

全体では46.0%で、担当者の不在 (27.5%) より高い水準です。担当者がいても、日々の取引や情報管理が紙と電話のままという企業があることになります。

図表2: 規模別の不在率とデジタル未利用率の対比

横軸に従業員規模を取り、棒グラフでシステム担当者の不在率 (48.2%、29.8%、20.1%、13.2%)、折れ線でデジタル未利用率 (10人から29人53.2%、100人から299人37.4%) を重ねた複合グラフです。未利用率は公表されている2区分のみ点を置きます。

2本を重ねると、どの規模でも未利用率が不在率を上回ることが見えます。つまり、担当者を置いたことと業務がデジタルに移ったことは、同じ速さでは進んでいません。担当者を置く話と、業務の進め方を変える話は別に考える必要があります。

出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年、https://www.kubell.com/news/2025/12/research.html)

担当者がいる企業でも、ひとり情シスと兼任が増えています

ノークリサーチの調査では、情報システム担当者が1名だけの企業が2023年の21.3%から2025年は24.5%へ増えました。年商5億円から50億円の層では、兼任が48.0%から61.1%へ増えています。

ひとり情シスの割合の推移

ノークリサーチの調査は、2025年10月14日に発表されたものです。調査時期は2025年5月、対象は全国・全業種で年商500億円未満の中堅・中小企業、有効回答は800社です。

情報システム担当者が1名だけの企業、いわゆるひとり情シスの割合は次のように動きました。

年 ひとり情シスの割合
2023年 21.3%
2025年 24.5%

2年で3.2ポイントの上昇です。

出典: ノークリサーチ調査 (2025年、調査時期2025年5月、有効回答800社)

担当者を1名以上置く企業の合計が81.6%から75.0%へ下がった意味

同じ調査では、担当者数が「1名」「2から5名」「6から9名」「10名以上」のいずれかである企業の合計も示されています。

年 担当者を1名以上置く企業の合計
2023年 81.6%
2025年 75.0%

合計が6.6ポイント下がる一方で、1名だけの企業は増えています。ノークリサーチは、外部の人材に委託しているケースや担当者が決まっていないケースが増えたことを要因として挙げています。

社内で人数を抱える体制が薄くなり、1名に寄るか、社内に置かない形に分かれているという読み方になります。

年商5億円から50億円の層での専任と兼任の入れ替わり

この層の変化は、より大きく出ています。

区分 2023年 2025年
専任 28.7% 16.7%
兼任 48.0% 61.1%

専任が12ポイント減り、兼任が13.1ポイント増えました。担当者はいるものの、他の業務と掛け持ちしている状態が標準になりつつあります。

図表3: 専任と兼任の構成比の推移

年商5億円から50億円の層について、2023年と2025年の2本の積み上げ棒グラフを並べます。各棒を専任と兼任で塗り分け、専任28.7%から16.7%、兼任48.0%から61.1%の変化を示します。

このグラフは、発注時の前提として使えます。相手が兼任の担当者であれば、打ち合わせや確認に割ける時間は限られます。運用の分担をどう決めるかは後述します。

出典: ノークリサーチ調査 (2025年、https://it.impress.co.jp/articles/-/28482)

業務の進め方そのものがIT化の前段にとどまる層もあります

東京商工会議所の調査では、口頭連絡や電話、帳簿での業務が多いと答えた企業が18.8%でした。紙や口頭のやり取りをITに置き換えている段階は30.6%です。

デジタル化の4段階の分布

この調査は、デジタル化の段階を4つのレベルに分けて聞いています。

段階 内容 割合
レベル1 口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い 18.8%
レベル2 紙や口頭でのやり取りをITに置き換えている 30.6%
レベル3 ITを活用して社内業務を効率化している 43.6%
レベル4 ITを差別化や競争力強化に積極的に活用している 6.7%

レベル1とレベル2を合わせると49.4%です。約半数が、紙と口頭の業務を置き換える途中か、その前段にいます。

調査の要件は、2023年5月15日から6月22日の実施、東京23区内の会員中小企業約10,000社を対象、回答1,336社、回答率13.3%です。

出典: 東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2023年)

担当者の不在とデジタル化の段階は別の指標である点

ここまでに挙げた3つの調査は、別のものを測っています。

  • kubellの調査: 担当者がいるかいないか
  • ノークリサーチの調査: 担当者の人数と、専任か兼任か
  • 東京商工会議所の調査: 業務の進め方がどの段階にあるか

担当者がいない企業でも、クラウドのサービスを使って業務を回していることはあります。逆に担当者がいても、業務が紙と電話のままという企業もあります。どちらも別に確かめる必要があります。

自社がどの段階にいるかの見方

自社の位置を確かめるには、次の2点を分けて見てください。

  1. システムのことを決める人が社内にいるか (いない場合は誰が決めるか)
  2. 日々の取引と記録が、紙や電話を介さずに残っているか

1がなく2もできていない場合、発注の前に決めることが増えます。何を決めるかは次のセクションで扱います。

出典: 東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2023年、https://officenomikata.jp/news/15677/)

中小企業への示唆: 担当者を前提にしない発注の組み方

担当者がいないことを前提に、運用と保守の分担を発注の時点で書面にしておくことが、ここまでの数字から導ける手当てです。担当者が置かれるのを待ってから発注する、という順番は現実的ではありません。

運用で誰が何をするかを要件に書く

システムは納品された後に運用が始まります。担当者が兼任または不在であれば、運用の作業を誰が持つのかを先に決めておく必要があります。

発注の時点で決めておきたいのは次の点です。

  • 利用者の追加と削除を誰が行うか
  • マスタ (取引先、商品、料金等) の更新を誰が行うか
  • 障害が起きたときの連絡先と、連絡がつく時間帯
  • バックアップの取得と、復旧を誰が行うか
  • 月次や年次の締めで必要な作業の手順

これらを見積もりの段階で文字にしておくと、公開後に「誰の仕事か決まっていない作業」が残りにくくなります。

引き継ぎができる形で残す

兼任の担当者は、異動や退職で入れ替わることがあります。ノークリサーチの調査で見たとおり、1名体制の企業は増えています。1名が抜けたときに誰も分からない状態にしないための備えが必要です。

残しておく対象は次の3つです。

残すもの 具体
仕様 画面と項目の一覧、計算のルール、外部サービスとの連携先
権限 管理者のアカウント、契約の名義、ドメインとサーバの管理画面
変更履歴 いつ誰が何を変えたかの記録

契約の名義と管理画面の権限は、見落とされやすい項目です。発注先に預けたままにすると、担当者が替わったときに手が出せなくなります。

兼任の担当者が月に使える時間から運用の範囲を決める

運用の範囲は、機能から決めるのではなく、使える時間から決めるほうが続きます。兼任の担当者が月に使える時間が数時間であれば、その時間で回る運用に絞る必要があります。

絞り方は2つあります。ひとつは、運用の作業そのものを減らす設計にすることです。もうひとつは、作業を外部に預けることです。どちらを選ぶかは、月の工数と費用を並べて比べると判断できます。当社が受け持てる範囲は次のセクションで説明します。

当社が支援できる範囲

当社は、担当者が兼任または不在である前提で、運用と保守の分担を決めたうえでシステムの発注内容を整理する部分を支援します。社内に専任を置いてからでなくても進められる形で組みます。

発注前の要件整理の進め方

最初に行うのは、いまの業務の棚卸しです。何をどの順番で、誰が、どの帳票やファイルで行っているかを書き出します。

そのうえで、次の順に決めていきます。

  1. システムで扱う範囲と、手作業で残す範囲を分ける
  2. 画面と項目、計算のルールを書き出す
  3. 運用で誰が何をするかを分担表にする
  4. 障害時の連絡先と対応の時間帯を決める
  5. ここまでを要件としてまとめ、見積もりの内訳と突き合わせる

3と4を先に決めておくと、公開後に残る作業が見えます。担当者が兼任であれば、その時間に収まるかどうかもこの段階で確かめられます。

公開後の運用で当社が受け持てる範囲

社内で持てない作業は、分担表のうえで外に出すことになります。当社が受け持てるのは次のような作業です。

作業 受け持ち方
障害の一次対応 連絡を受けて原因を切り分け、復旧の手順を実行します
利用者とマスタの更新 依頼を受けて代行します。手順書は貴社にも渡します
変更の記録 いつ何を変えたかを記録として残し、引き継げる形にします

いずれも、どの作業を誰が持つかを分担表で先に決めておくことが前提です。範囲を決めずに保守を契約すると、必要な作業が抜けたままになります。

相談の入口

いまの体制のまま何ができるかを確かめたい段階でもご相談いただけます。業務の棚卸しの進め方と、発注の前に決めることの一覧をお渡しします。

発注の前に決める項目をまとめた資料もありますので、社内で検討を始める段階でお使いください。

よくあるご質問

この記事に関して多い質問と回答をまとめます。数値はいずれも各調査の公表値です。

システム担当者がいない中小企業はどのくらいありますか

kubellの調査では全体で27.5%です。従業員規模別では、10人から29人で48.2%、30人から49人で29.8%、50人から99人で20.1%、100人から299人で13.2%でした。ここでいう「いない」は、専任・兼任・社外委託のいずれもいない状態を指します。出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)

ひとり情シスとは何人体制のことですか、どのくらいの割合ですか

情報システム担当者が1名だけの体制を指します。ノークリサーチの調査では、2023年の21.3%から2025年は24.5%へ増えました。同じ調査で、担当者を1名以上置いている企業の合計は81.6%から75.0%へ下がっています。出典: ノークリサーチ調査 (2025年)

システム担当者がいない企業の割合は、調査によってなぜ数字が違うのですか

「担当者」の定義と調査の対象が違うためです。kubellの調査は従業員10人から299人の企業を対象に、兼任と社外委託も含めて「いない」を数えています。ノークリサーチの調査は年商500億円未満の企業を対象に、担当者の人数と専任か兼任かを聞いています。測っているものが別なので、数値を並べて増減を論じることはできません。

担当者が兼任の場合、システムの運用はどこまで自社で持つべきですか

機能から決めるのではなく、担当者が月に使える時間から決めるほうが続きます。利用者の追加と削除、マスタの更新、障害時の連絡、バックアップと復旧といった作業を一覧にして、どれを社内で持ち、どれを外に出すかを分担表にしてください。時間に収まらない作業は、設計で減らすか外部に預けるかの判断になります。

担当者がいない状態でシステムを外注するとき、何を決めておく必要がありますか

運用の分担と、引き継ぎのための記録です。分担としては、利用者管理、マスタ更新、障害時の連絡先と対応時間、バックアップと復旧を決めます。記録としては、仕様 (画面と項目、計算のルール、連携先)、権限 (管理者アカウント、契約の名義、管理画面)、変更履歴を残します。契約の名義と管理画面の権限は見落とされやすいため、発注の時点で確かめてください。

出典一覧: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年、https://www.kubell.com/news/2025/12/research.html)、ノークリサーチ調査 (2025年、https://it.impress.co.jp/articles/-/28482)、東京商工会議所『中小企業のデジタルシフト・DX実態調査』(2023年、https://officenomikata.jp/news/15677/)

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監修: 株式会社ノーティックラボ 代表(AIエンジニア)
本記事はAIを活用して制作しています

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