従業員10人から29人では、48.2%がシステム担当者を置いていません
システム担当者が社内にいない中小企業は全体で27.5%です。従業員10人から29人の層では48.2%で、ほぼ半数に達します。出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)。
全体の27.5%と、規模別で最も高い48.2%
同じ調査の数値を規模別に並べると、次のようになります。
| 従業員規模 | システム担当者がいない割合 |
|---|---|
| 全体 | 27.5% |
| 10人から29人 | 48.2% |
| 30人から49人 | 29.8% |
| 50人から99人 | 20.1% |
| 100人から299人 | 13.2% |
全体の27.5%という数字だけを見ると、4社に1社の話に見えます。しかし規模を分けると様子が変わります。10人から29人の層では48.2%で、100人から299人の層の13.2%と比べて3倍以上です。
この数字が示すのは専任の不在ではなく担当者そのものの不在
この割合は、専任の担当者がいない企業の割合ではありません。専任、兼任、社外委託のいずれもいないと答えた企業の割合です。
つまり48.2%の企業では、システムのことを見る人が社内にも社外にも決まっていません。外部に委託していれば「いない」には数えられていません。定義の詳細は次のセクションで扱います。
図表1: 従業員規模別のシステム担当者不在率
横軸に従業員規模の4区分 (10人から29人、30人から49人、50人から99人、100人から299人) を取り、縦軸に不在率を取った棒グラフです。48.2%、29.8%、20.1%、13.2%と右肩下がりに並び、全体の27.5%を水平の基準線として重ねます。
このグラフから読めることは2つあります。ひとつは、規模が小さいほど不在率が高いという傾向です。もうひとつは、30人を超えたあたりで全体平均に近づくという段差です。自社の従業員数を横軸に当てて、同じ規模の企業がどうしているかを確かめる使い方ができます。
出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年、https://www.kubell.com/news/2025/12/research.html)
この数字はどの調査の、どういう問いによるものか
引用した割合は、kubellの調査によるものです。従業員10人から299人の企業を対象に、専任・兼任・社外委託のいずれもいない企業の割合を聞いています。
調査の対象と有効回答数、調査時期
調査の要件は次のとおりです。
- 調査名: 中小企業のデジタル化に関するアンケート調査
- 実施: 株式会社kubell
- 時期: 2025年11月17日から19日
- 対象: 従業員10人から299人の企業の経営者・管理職およびバックオフィス担当者
- 方法: インターネット調査
- 有効回答: 1,093件
従業員10人未満の企業は対象に入っていません。10人未満の層ではさらに不在率が高いことが考えられますが、この調査からは読み取れません。
出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)
「いない」の定義に兼任と社外委託を含む点
この調査が「いない」と数えているのは、専任の担当者も、兼任の担当者も、社外に委託している先もない企業です。
定義を確かめる意味は実務上あります。たとえば「情シスがいない」という言い方は、専任がいないだけの状態を指すことも多いためです。27.5%や48.2%は、それより厳しい状態の割合だと読むことになります。
調査ごとに定義が違うため単純比較ができない点
担当者の不在を扱う調査は複数あり、定義と対象が揃っていません。
| 調査 | 対象 | 数えているもの |
|---|---|---|
| kubellの調査 | 従業員10人から299人 | 専任・兼任・社外委託のいずれもいない企業の割合 |
| ノークリサーチの調査 | 年商500億円未満の中堅・中小企業 | 情報システム担当者の人数と、専任か兼任か |
| 東京商工会議所の調査 | 東京23区内の会員中小企業 | 業務のデジタル化の段階 |
対象の切り方が従業員数と年商と地域で違い、聞いている内容も人数と体制と段階で違います。したがって、別の調査の数値を並べて増えたか減ったかを論じることはできません。本記事でも、推移は同じ調査のなかで比べています。
規模が小さいほど不在率が上がります
不在率は従業員10人から29人で48.2%、30人から49人で29.8%、50人から99人で20.1%、100人から299人で13.2%です。規模が小さいほど高くなります。
規模別の4区分の数値
区分ごとの差を見ると、10人から29人と30人から49人の間に最も大きな段差があります。48.2%から29.8%へ、18.4ポイント下がります。
その後は29.8%から20.1%へ9.7ポイント、20.1%から13.2%へ6.9ポイントと、下がり幅が小さくなります。担当者を置くかどうかの分かれ目が、30人前後にあるように見えます。
出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年)
同じ調査で見るデジタル利用の状況
同じ調査では、日常的な取引や情報管理にデジタルを利用していない企業の割合も示されています。口頭、メール、電話、FAX、紙に頼っていると答えた割合です。
| 従業員規模 | デジタルを利用していない割合 |
|---|---|
| 全体 | 46.0% |
| 10人から29人 | 53.2% |
| 100人から299人 | 37.4% |
30人から49人と50人から99人の区分については、この項目の数値が公表されていません。
全体では46.0%で、担当者の不在 (27.5%) より高い水準です。担当者がいても、日々の取引や情報管理が紙と電話のままという企業があることになります。
図表2: 規模別の不在率とデジタル未利用率の対比
横軸に従業員規模を取り、棒グラフでシステム担当者の不在率 (48.2%、29.8%、20.1%、13.2%)、折れ線でデジタル未利用率 (10人から29人53.2%、100人から299人37.4%) を重ねた複合グラフです。未利用率は公表されている2区分のみ点を置きます。
2本を重ねると、どの規模でも未利用率が不在率を上回ることが見えます。つまり、担当者を置いたことと業務がデジタルに移ったことは、同じ速さでは進んでいません。担当者を置く話と、業務の進め方を変える話は別に考える必要があります。
出典: 株式会社kubell『中小企業のデジタル化に関するアンケート調査』(2025年、https://www.kubell.com/news/2025/12/research.html)
担当者がいる企業でも、ひとり情シスと兼任が増えています
ノークリサーチの調査では、情報システム担当者が1名だけの企業が2023年の21.3%から2025年は24.5%へ増えました。年商5億円から50億円の層では、兼任が48.0%から61.1%へ増えています。
ひとり情シスの割合の推移
ノークリサーチの調査は、2025年10月14日に発表されたものです。調査時期は2025年5月、対象は全国・全業種で年商500億円未満の中堅・中小企業、有効回答は800社です。
情報システム担当者が1名だけの企業、いわゆるひとり情シスの割合は次のように動きました。
| 年 | ひとり情シスの割合 |
|---|---|
| 2023年 | 21.3% |
| 2025年 | 24.5% |
2年で3.2ポイントの上昇です。
出典: ノークリサーチ調査 (2025年、調査時期2025年5月、有効回答800社)
担当者を1名以上置く企業の合計が81.6%から75.0%へ下がった意味
同じ調査では、担当者数が「1名」「2から5名」「6から9名」「10名以上」のいずれかである企業の合計も示されています。
| 年 | 担当者を1名以上置く企業の合計 |
|---|---|
| 2023年 | 81.6% |
| 2025年 | 75.0% |
合計が6.6ポイント下がる一方で、1名だけの企業は増えています。ノークリサーチは、外部の人材に委託しているケースや担当者が決まっていないケースが増えたことを要因として挙げています。
社内で人数を抱える体制が薄くなり、1名に寄るか、社内に置かない形に分かれているという読み方になります。
年商5億円から50億円の層での専任と兼任の入れ替わり
この層の変化は、より大きく出ています。
| 区分 | 2023年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 専任 | 28.7% | 16.7% |
| 兼任 | 48.0% | 61.1% |
専任が12ポイント減り、兼任が13.1ポイント増えました。担当者はいるものの、他の業務と掛け持ちしている状態が標準になりつつあります。
図表3: 専任と兼任の構成比の推移
年商5億円から50億円の層について、2023年と2025年の2本の積み上げ棒グラフを並べます。各棒を専任と兼任で塗り分け、専任28.7%から16.7%、兼任48.0%から61.1%の変化を示します。
このグラフは、発注時の前提として使えます。相手が兼任の担当者であれば、打ち合わせや確認に割ける時間は限られます。運用の分担をどう決めるかは後述します。
出典: ノークリサーチ調査 (2025年、https://it.impress.co.jp/articles/-/28482)