ホームページのセキュリティ対策は新規取引につながりますか
IPAの調査では、情報セキュリティ対策を整備した中小企業の一定数が新規の取引・商談につながったと回答しています。出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」(2025年5月公表)。
この調査を報じる記事では、対策が取引につながったと回答した企業の割合として「約5割」とするものと「約6割」とするものが併存しています。数値には幅があるため、正確な割合は報告書の原典で確認することをおすすめします。ただし複数の報道が同じ方向の傾向を示している点は注目に値します。
さらに、経済産業省は2025年12月、企業間取引におけるセキュリティ対応力を星3から星5の段階で可視化する制度の構築方針を公表しました。この制度は2026年度の運用開始を目指しています。出典: 経済産業省「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度に関する制度構築方針(案)」。
つまり、セキュリティ対策はもはや「攻撃を防ぐための備え」だけでなく、取引先に自社の信頼性を示す材料になりつつあります。次の項目で、これらの調査や制度の詳しい内容を確認します。
この調査はどのような機関が公表していますか
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2025年5月に公表した「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」が出典です。出典: IPA「『2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査』報告書について」(2025年5月公表)。
IPAとは、経済産業省所管の独立行政法人で、情報セキュリティやIT人材育成に関する調査・情報発信を行う公的機関です。中小企業向けの調査を毎年実施しており、今回の報告書もその一環です。
同調査は、セキュリティ対策の実施状況に加えて、対策が新規取引や商談にどう影響したかも尋ねている点が特徴です。前述のとおり、この設問への回答割合を報じる二次情報には幅があるため、正確な数字を確認したい場合はIPA公式ページの報告書本編を参照することをおすすめします。
取引先からセキュリティ対応力を求められる動きは今後どうなりますか
経済産業省は2025年12月、企業間取引のセキュリティ対応力を星3から星5で可視化する制度の構築方針を公表し、2026年度の運用開始を目指しています。出典: 経済産業省「『サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度に関する制度構築方針(案)』を公表しました」(2025年12月公表)。
この制度は「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」と呼ばれ、企業間取引におけるサイバーセキュリティ対応力を星3から星5の段階で評価します。出典: 経済産業省「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度に関する制度構築方針(案)」。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の通称 | サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度) |
| 評価の段階 | 星3から星5の3段階 |
| 公表時期 | 2025年12月(構築方針案) |
| 運用開始予定 | 2026年度 |
この制度の狙いは、発注側が受注側に求めるセキュリティ水準を明確にし、受注側がみずからの対応状況を客観的に示せるようにすることです。構築方針では、サプライチェーンを構成する中小企業ほど、対策を可視化・評価される仕組みを活用する効果が特に大きいと想定されています。
つまり今後は、セキュリティ対策をしているかどうかが、口頭の説明ではなく客観的な評価として取引先に伝わる時代に近づいているといえます。御社が受注側として取引先を増やしたい場合、この動きは無視できません。
なぜセキュリティ対策が取引の信頼につながるのですか
発注側が委託先のセキュリティリスクを重視する背景には、サプライチェーンを経由した被害が増えているという実態があります。
自社のセキュリティ対策がどれだけ強固でも、取引先や委託先が弱点になれば被害を受ける可能性があります。そのため発注側は、委託先を選ぶ際に価格や納期だけでなく、セキュリティ対応の状況も判断材料にするようになっています。
前述のSCS評価制度のように、対応力を客観的な指標で示せる仕組みが整えば、発注側は安心して取引先を選びやすくなります。逆に対応状況を示せない企業は、比較検討の対象から外れやすくなる可能性があります。
御社のホームページやシステムのセキュリティ対策は、単なる防御策ではなく、取引先に安心して発注してもらうための材料の一つだと捉えることができます。