リニューアル後に順位が下がったら、まず何から確認しますか?
最初にやるのは修正ではなく、下がり始めた日付の特定です。Search Consoleの検索パフォーマンスで低下が始まった日を1日単位で押さえ、その日を公開日とGoogleのランキング更新の開始日と突き合わせます。
この順番を守るだけで、調査の範囲が大きく絞れます。日付が分からないまま修正を始めると、直した箇所と変動の関係が永久に分からなくなります。
下がり始めた日を1日単位で特定する
期間を「過去28日」のような丸めた単位で見ないことが要点です。Search Consoleの検索パフォーマンスで期間を日別に表示し、表示回数と平均掲載順位が崩れた最初の日を1日単位で読み取ります。
確認する順序は次のとおりです。
- 検索パフォーマンスを開き、期間を公開日の1か月前から現在までに設定する (所要5分)
- グラフを日別表示にして、表示回数と平均掲載順位が下がり始めた日を特定する (所要10分)
- ページ単位のタブに切り替え、下がったのがサイト全体か特定のページ群かを分ける (所要15分)
つまずきやすいのは3番目です。サイト全体が一律に下がっているのか、リニューアルでURLが変わったページだけが下がっているのかで、この後に疑う原因が変わります。全体が下がっているならサイト単位の要因、URLが変わったページだけならリニューアル作業の要因が先に疑わしくなります。
公開日と更新開始日を並べた時系列表を作る
日付を3つ並べた表を1枚作ります。リニューアルの公開日、低下が始まった日、そしてGoogleが公表しているランキング更新の開始日です。
Googleは検索のランキング更新について、名称と開始日、展開に要した期間を公式に公表しています。2026年に公表された更新は次のとおりです。
| 更新名 | 開始日 | 展開に要した期間 |
|---|---|---|
| 9月スパムアップデート | 2026年9月24日 | 公表時点で継続中 |
| 8月スパムアップデート | 2026年8月18日 | 2日16時間 |
| 6月スパムアップデート | 2026年6月24日 | 2日1時間 |
| 5月コアアップデート | 2026年5月21日 | 11日21時間 |
| 3月コアアップデート | 2026年3月27日 | 12日4時間 |
出典: Google検索ステータスダッシュボード「ランキング更新履歴」(基準日 2026年9月27日)。時刻の表記はすべて太平洋標準時です。
この表と自社の低下開始日を重ねると、判断の入口が決まります。重なっていなければ自社の作業を先に疑い、重なっていればGoogle側の要因を併せて疑う流れになります。展開期間が数日から十数日に及ぶ点も押さえてください。開始日だけでなく、その後の期間全体が重なりの対象です。
この段階で修正に着手しない理由
公開直後の変動には、正常な範囲があるためです。Googleは移転の反映について、小規模から中規模のサイトでも大半のページの移転が反映されるまでに数週間かかると説明しています (出典: Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」)。
つまり、公開から数日の動きを見て急いで設定を変えると、反映途中の状態に別の変更を重ねることになります。変更を重ねた後は、どの操作が効いたのかを後から分離できません。
やるべきことは、日付の特定と症状の切り分けまでです。実際の点検手順は次のセクション以降で扱います。
そもそも公開直後の順位変動は異常ですか?
移転中の一時的な変動はGoogleが公式に「通常のこと」と説明しており、公開直後の数日の動きだけでは異常と判断できません。反映には小規模から中規模のサイトでも数週間かかるとされています。
前のセクションで低下開始日を特定したら、次はその日が「待つべき期間」の中に入っているかを見ます。判断を誤ると、正常な反映の途中で余計な変更を加えることになります。
Googleが正常としている変動の範囲
Googleは移転中の順位変動について明記しています。「移転中は、検索でのコンテンツ掲載順位が一時的に変動することがあります。これは通常のことであり、サイトのランキングは時間の経過とともに安定します」と説明されています。
反映までの期間についても目安が示されています。小規模から中規模のサイトで大半のページの移転が反映されるまでには数週間かかり、より大規模なサイトではそれより長くかかるとされています (出典: Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」)。
つまり、URLが変わったリニューアルでは、公開から数週間の変動そのものは想定内です。御社のサイトが数十ページから数百ページの規模であれば、この数週間が目安になります。
反映を待つ期間の目安と、待たずに動くべき症状
待つか動くかは、症状の種類で分けます。順位の上下だけなら待ち、ページそのものが検索結果から消える種類の症状なら待ちません。
| 症状 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 平均掲載順位が数位から十数位下がった | 数週間は待つ | 反映途中に起きる想定内の変動に含まれます |
| 表示回数が緩やかに減り、新URLの表示が増えている | 数週間は待つ | 旧URLから新URLへの入れ替わりが進んでいる状態です |
| 新URLが検索結果に1件も出てこない | すぐ点検する | クロールまたはインデックス登録が止まっている可能性があります |
| 旧URLを開くとエラーページが表示される | すぐ点検する | 転送が設定されていない、または切れている可能性があります |
| 新旧どちらのURLも検索結果に出ない | すぐ点検する | サイト全体がクロール拒否の設定になっている可能性があります |
待たずに動くべき症状には、共通点があります。いずれも「順位が低い」のではなく「そもそも検索対象になっていない」状態です。この区別が、待機と着手の境目になります。
もう1点、転送の経路の長さも早めに確認する価値があります。Googleはリダイレクトのチェーンを避けるよう案内しており、チェーンの数は5個未満、理想的には3個以下に抑えるよう記載しています (出典: Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」)。旧サイトで既にhttpからhttpsへの転送があり、そこにリニューアルのURL変更が重なると、経路が意図せず伸びていることがあります。
なお、ドメインを変更した場合は、待機の期間を考える前提がもう1つ増えます。Search Consoleのアドレス変更ツールによる転送の処理は、移行を開始してから180日間続くとされています (出典: Search Consoleヘルプ「アドレス変更ツール」)。この180日という期間は、転送を早期に外してはいけない期間としても読めます。具体的な点検の手順は次のセクションで扱います。
自社の作業が原因かを、どのデータで確かめますか?
旧URLの扱いとインデックスの状態を見ます。URL検査ツールでリダイレクト先とインデックス登録の可否を1件ずつ確認し、インデックス作成レポートで旧URLの減少と新URLの増加が対になっているかを見ます。
URL検査ツールとは、Search Consoleで1つのURLを指定し、Googleがそのページをどう認識しているかを表示する機能です。Googleは移転の作業手順として、個々のURLをテストするにはURL検査ツールを使い、多数のURLをテストするにはコマンドラインツールまたはスクリプトを使うよう案内しています (出典: Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」)。
URL検査ツールで旧URLを1件ずつ確認する
全ページを見る必要はありません。表示回数が多かった順に10本から20本を選び、その旧URLだけを検査します。
- リニューアル前の検索パフォーマンスから、表示回数上位のページのURLを書き出す (所要20分)
- URL検査ツールに旧URLを入力し、検査結果の転送先が意図した新URLかを確認する (1本あたり所要2分)
- 同じ画面で「URLはGoogleに登録されています」と表示されるかを確認する (1本あたり所要1分)
- 転送先が違う、または登録されていない旧URLを一覧にまとめる (所要15分)
つまずきやすいのは2番目です。転送先が新URLではなくトップページになっている事例が少なくありません。一括で「全ページをトップへ転送」という設定を入れると、個別ページの評価が新しい個別ページへ引き継がれません。
インデックス作成レポートで新旧の入れ替わりを見る
見るのは絶対数ではなく、新旧の増減が対になっているかです。旧URLの登録数が減り、同じ時期に新URLの登録数が増えていれば、入れ替わりは進んでいます。
Googleも移転後の監視として、インデックスのレポートで元のURLのサイトマップから登録されているページの数がゼロになり、新規URLが増加する様子を確認するよう案内しています (出典: Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」)。
注意すべきは、旧URLだけが減って新URLが増えていない状態です。この場合、旧ページの評価が行き先を失っています。原因は転送の設定漏れか、新URLがクロール拒否になっているかのどちらかが多いです。
| 見え方 | 読み取り | 次にやること |
|---|---|---|
| 旧URLが減り、新URLが増えている | 入れ替わりが進行中 | 数週間そのまま様子を見ます |
| 旧URLが減り、新URLが増えない | 評価の行き先がない | 転送設定とクロール拒否の設定を点検します |
| 旧URLが減らない | 転送が認識されていない | 転送の種類と経路を点検します |
| 除外の理由に「リダイレクトエラー」がある | 転送の経路に問題がある | 転送先の連鎖と転送先のエラーを確認します |
実装者として見落としが多い箇所 (noindexとrobots.txtの残存)
当社が実装の現場で最も多く見るのは、公開前のテスト環境の設定が本番に残っているケースです。新しいサイトを社外から見えない状態で確認するため、テスト中はnoindexの指定やrobots.txtでのクロール拒否を入れます。この2つを公開時に外し忘れると、新URLは検索対象になりません。
noindexとは、そのページを検索結果に表示しないようGoogleへ伝える指定です。robots.txtとは、クロールしてよい範囲をサイト全体に対して指定するファイルです。
確認は次の3点で足ります。
- 新URLをURL検査ツールで検査し、除外の理由にnoindexが挙がっていないかを見る
- サイトのrobots.txtを直接開き、全体を拒否する記述が残っていないかを見る
- CMSの設定画面にある検索エンジンへの表示の可否が、表示する側になっているかを見る
CMSの設定は見落としやすい箇所です。HTMLには書かれていないのに、CMSの管理画面の1項目が全ページにnoindexを付けている構成があります。制作会社へ確認を依頼する際も、この3点を名指しで伝えると回答が早くなります。
Google側のアップデートが原因かを、どう確認しますか?
Google検索のステータスダッシュボードで公表されているランキング更新の開始日と展開期間を、低下が始まった日と重ねて確認します。重なっていれば自社の作業以外の要因を併せて疑う段階に入ります。
ここで見るのは推測や観測サイトの情報ではなく、Google自身が公表している履歴です。更新の名称、開始日、展開に要した期間が掲載されています。
公式に公表されている更新の履歴の見方
確認は3手順で済みます。展開期間が数日から十数日に及ぶため、開始日だけでなく期間全体を重ねる点が要点です。
- Google検索のステータスダッシュボードで、ランキング更新の履歴を開く (所要5分)
- 低下が始まった日の前後2週間に、開始日が入っている更新があるかを見る (所要10分)
- 該当があれば、その更新の展開期間が低下の期間と重なっているかを確認する (所要10分)
つまずきやすいのは3番目です。ダッシュボードの時刻表記は太平洋標準時のため、日本時間とは日付が1日ずれることがあります。前後1日の幅を持たせて見てください。
2026年に公表された更新の展開期間には、次のような幅があります。
| 更新名 | 開始日 | 展開に要した期間 |
|---|---|---|
| 8月スパムアップデート | 2026年8月18日 | 2日16時間 |
| 6月スパムアップデート | 2026年6月24日 | 2日1時間 |
| 5月コアアップデート | 2026年5月21日 | 11日21時間 |
| 3月コアアップデート | 2026年3月27日 | 12日4時間 |
出典: Google検索ステータスダッシュボード「ランキング更新履歴」(基準日 2026年9月27日)。なお、2026年9月24日開始のスパムアップデートも公表されています。
スパムアップデートは2日程度、コアアップデートは12日前後で展開が完了しています。低下が1日で底を打っているのか、2週間かけて緩やかに下がったのかは、どの更新と重なるかを絞る手がかりになります。
コアアップデートとスパムアップデートで対応が変わる点
対応の方向が変わります。コアアップデートはサイト全体の内容の評価に関わるため、個別ページの技術的な修正では動きません。スパムアップデートはGoogleのスパムポリシーに触れる実装が対象です。
| 種類 | 主な対象 | 発注側が取る対応 |
|---|---|---|
| コアアップデート | サイト全体の内容の有用性 | 内容と構成の見直しを中期の計画として組みます |
| スパムアップデート | スパムポリシーに触れる実装 | 該当する実装がリニューアルで入っていないかを点検します |
スパムアップデートと重なった場合、まず確認するのはリニューアルで新しく入れた仕組みです。自動生成したページ群、他社コンテンツの大量掲載、ユーザの操作を妨げる挙動などが、意図せず追加されていないかを見ます。
重なっていた場合に、それでも自社側を点検する理由
重なりは因果ではないためです。同じ時期に更新が走っていても、下がった直接の原因が転送の設定漏れである可能性は消えません。
判断の順序は変えないでください。前のセクションの点検、つまり旧URLの転送とインデックスの状態を先に確認し、そこに問題がないと確認できて初めて、更新の影響を主要因として扱います。
コアアップデートの影響と判断した場合、時間の見積もりも変わります。Googleは改善後の効果について、数日で効果が出るものもあるが、システムが学習して確認するまでには数か月かかることもあると説明しています。数か月経っても効果が見られない場合は、次のコアアップデートまで待つ必要があるかもしれないとも記載されています (出典: Google検索セントラル「Google検索のコアアップデート」)。あわせて、変更を加えても検索結果に目に見えて変化が現れる保証はないと明記されています。
この前提を社内で共有しておくことが重要です。来週までに戻すという期待のまま動くと、効果の出ていない施策を次々に重ねることになります。
比較する前の数値が残っていない場合はどうしますか?
取得できるデータの範囲には期限があるため、まず何がどこまで残っているかを確認します。Search Consoleの検索パフォーマンスとGoogleアナリティクス4では遡れる期間が異なります。
ここを確認しないまま「去年と比べて下がった」と話を進めると、そもそも比較できない期間を比較していることがあります。
残っている期間から比較の基準日を決める
期間の上限は公式に決まっています。Search Consoleの検索パフォーマンスで遡れる最長期間は16か月です (出典: Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンス レポート (検索結果): 概要と基本設定」)。
Googleアナリティクス4は設定によって変わります。無料版のデータ保持期間の上限は14か月で、既定値は2か月です (出典: アナリティクスヘルプ「データ保持期間」)。設定を変えていなければ、2か月より前のユーザ単位のデータは残っていません。
| データ | 遡れる期間 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| Search Console 検索パフォーマンス | 最長16か月 | 期間の指定画面で選べる最も古い日付を見ます |
| Googleアナリティクス4 (無料版) | 上限14か月、既定2か月 | 管理画面のデータ保持の設定値を見ます |
基準日の決め方は次のとおりです。
- Search Consoleで選べる最も古い日付を確認し、比較可能な範囲の端を把握する (所要5分)
- 公開日の直前4週間を基準期間に設定する (所要5分)
- 同じ曜日構成になるよう、比較先も4週間単位で揃える (所要10分)
つまずきやすいのは3番目です。月単位で比較すると土日の数が変わり、その差が変動として現れます。4週間単位で揃えると曜日の構成が同じになります。
基準値がない場合の代わりの見方
過去と比べられないときは、絶対的な基準を持つ指標で見ます。Core Web Vitalsの各指標には、過去との比較を必要としない合格の基準があります。
Core Web Vitalsとは、ページの表示や操作の快適さをGoogleが定義した指標の組み合わせです。良好とされる基準は次のとおりです。
| 指標 | 良好の基準 | 何を測るか |
|---|---|---|
| LCP (Largest Contentful Paint) | 2.5秒以内 | 主要な内容が表示されるまでの時間 |
| INP (Interaction to Next Paint) | 200ミリ秒以下 | 操作に対する反応の速さ |
| CLS (Cumulative Layout Shift) | 0.1以下 | 表示中のレイアウトのずれの量 |
出典: web.dev「Web Vitals」。判定には実際のユーザのデータが使われ、75パーセンタイルの値で評価されます (出典: web.dev「How the Core Web Vitals metrics thresholds were defined」)。
75パーセンタイルという条件は実務上重要です。4人のうち3人が基準内であれば合格という考え方のため、御社の担当者の端末で速く表示されても、合格しているとは限りません。
基準値がない場合の進め方は次の3つです。
- Core Web Vitalsの3指標が基準内かを確認する (過去との比較が不要です)
- 新URLがインデックスに登録されているかを確認する (登録の可否は現在の状態だけで分かります)
- 主要な検索語での現在の順位を記録し、これ以降の比較の基準として使う
3番目は今日から始められます。過去が残っていないことは変えられませんが、今日を次回の基準日にすることはできます。記録すべき項目は最後のセクションでまとめます。