日本企業のホームページ開設率は何割ですか
総務省の最新調査では従業員100人以上の企業で93.2%ですが、この数値は従業員100人未満の中小企業を含んでいません(出典: 総務省『令和6年通信利用動向調査の結果』令和6年)。「日本企業の9割がホームページを持っている」という言い方をよく見かけますが、この数字の内実を知っている経営者は多くありません。
調査対象は常用雇用者100人以上の企業6,040社
総務省「令和6年通信利用動向調査」(企業編)は、公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業6,040社を対象に実施されています(出典: 同調査)。この調査結果を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ホームページ開設率(令和6年) | 93.2% |
| 前年(令和5年)からの増加幅 | 0.2ポイント |
| 調査対象企業数 | 6,040社 |
| 最も開設率が高い規模区分(従業者300~499人) | 98.0% |
つまり、よく引用される9割前後という開設率は、従業員100人以上という一定規模以上の企業に限った数値です。御社のように従業員100人未満で事業をされている場合、この93.2%という数字がそのまま当てはまるわけではありません。規模別の実際の差は、次の見出しで詳しく見ていきます。
なぜ「9割」という数字は中小企業の実態を表さないのですか
よく引用される9割前後の開設率は、調査対象そのものが従業員100人以上の企業に限られているために出てくる数字です。前の見出しで触れたとおり、総務省「令和6年通信利用動向調査」は常用雇用者規模100人以上の企業6,040社を対象にしています(出典: 総務省『令和6年通信利用動向調査の結果』令和6年)。
従業者規模300~499人で98.0%と最も高い
同調査を従業者規模別に見ると、300人から499人の企業で開設している割合が98.0%と最も高く、規模が大きい企業ほど開設率が高い傾向が示されています(出典: 同調査)。逆に言えば、調査対象の下限である従業員100人前後の企業では、この98.0%より低い開設率になっていると推測できます。
規模が小さい企業は調査対象に入っていない
そもそも、この調査は従業員100人未満の企業や小規模事業者を対象に含めていません。御社のように従業員が数名から数十名規模の場合、この調査結果に御社の実態は反映されていません。93.2%という数字を見て「自社は取り残されている」と感じる必要はなく、この数字自体が御社の規模を測る対象にしていないということです。
規模が小さい企業の実際の開設率がどの程度なのかは、別の調査で見ることができます。次の見出しで、その数値を具体的に確認します。
従業員規模別に見た実際のホームページ開設率はどうなっていますか
別の調査では、従業員100人未満の中小企業で77.7%、300人以上の企業で95%超と、規模による差が示されています(出典: 総務省『令和4年通信利用動向調査報告書(企業編)』令和4年)。
前の見出しで見た令和6年調査は従業員100人以上の企業だけを対象にしていましたが、令和4年調査は従業員100人未満の中小企業も含めて集計しています。この結果を並べると、規模別の差が次のように見えてきます。
| 従業員規模 | ホームページ開設率 |
|---|---|
| 100人未満 | 77.7% |
| 300人以上 | 95%超 |
つまり、従業員100人未満の中小企業は、大企業より低い水準にとどまっています(出典: 同調査)。この差の背景には、中小企業庁『2022年版中小企業白書』が指摘する、業務効率化としてのIT活用は進みつつあるが、売上拡大や新規顧客獲得といった攻めのデジタル活用に踏み込めている企業は少ないという課題があると考えられます。
御社が従業員100人未満の規模であれば、77.7%という数字が最も近い比較対象になります。約4社に1社はまだホームページを持っていないことになり、御社が特別な少数派というわけではありません。この立ち位置が具体的なリスクとどう結びつくかは、次の見出しで扱います。
ホームページが無いと、どのようなリスクがありますか
規模が小さい企業ほど開設率が低い傾向自体が、規模の小さい企業に機会損失が偏っている可能性を示しています。ここでは、具体的にどのような場面で不利になりやすいかを整理します。
問い合わせや採用の窓口が実質的に無くなる
自社名で検索した相手が、電話や訪問の前にまず確認する情報源が無い状態になります。取引先の担当者が発注前に企業概要を確認したい場合や、求職者が応募前に事業内容を知りたい場合、御社の情報にたどり着く経路が限られます。SNSアカウントだけで運用している場合も、検索エンジンから直接見つかる可能性は下がります。
名刺代わりの情報源が無いことの信用面の影響
初めて取引する相手にとって、公式なホームページの有無は、その会社が今も事業を続けているかを確認する手がかりの一つになります。ホームページが無いこと自体が取引を止める決定的な理由になるとは限りませんが、比較検討の対象から外れる場面が増える可能性はあります。
これらのリスクは、業種や取引形態によって重みが異なります。次の見出しでは、今すぐ対応すべきか保留してよいかを判断する基準を整理します。