社内担当者がいない場合、リニューアルは何から始めればよいですか
全ての判断を外注先に委ねるのではなく、自社が最低限決めておくべき項目を先に固定することが最初の一歩です。この状況は決して珍しくありません。
自社で決めるべき最低限の項目
システム担当者が不在の中小企業は、全体で3割弱にのぼります。従業員10から29人規模の企業に限ると、約5割弱が「システム担当者がいない」と回答しています。出典は株式会社kubellの調査です。
この背景には、業界全体のIT人材不足があります。経済産業省が委託した調査があります。2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると推計されています。採用市場で大企業と競合する中小企業ほど、この影響を受けやすいといえます。
自社が決めるべき最低限の項目は、次の3点です。
- リニューアルの目的です。何を良くしたいかを一言で言えるようにしておきます。
- 予算の上限です。制作会社への提示にも使います。
- 公開を希望する時期です。
進行管理を外部に任せられる範囲
上の3点さえ決まっていれば、スケジュール調整や制作会社との日々のやり取りの大部分は外部に任せられます。専任担当者がいなくても進められる理由はここにあります。
具体的にどう役割を分担していくかは、次の見出しで手順として説明します。
専任担当者がいない状態での進め方の手順は
要件整理、発注先選定、確認体制づくりの3段階に分けると、兼任の担当者一人でも進められます。
- 要件整理です。前述の目的・予算上限・希望時期を箇条書きにします。所要時間の目安は1週間程度です。
- 発注先選定です。複数社から見積もりを取り、比較します。つまずきやすい点は、価格だけで選び、進行管理を任せられるかの確認を忘れることです。
- 確認体制づくりです。誰が、どの頻度で進捗を確認するかを最初に決めます。所要時間の目安は、初回の打ち合わせで30分程度です。
この3段階のうち、時間と労力がかかるのは発注先選定です。次の見出しで、選定時に確認すべきポイントを説明します。
発注先選定で社内担当者不在でも失敗しないポイントは
進行管理まで巻き取ってくれる体制があるかどうかを基準に選ぶことが重要です。
発注前に確認すべき質問リスト
見積もりの金額だけでなく、次の質問への回答を比較します。
| 質問 | 確認する理由 |
|---|---|
| 進行管理は誰が担当しますか | 御社側に進行管理の経験者がいなくても、相手が主導してくれるかが分かる |
| 決めるべき事項をどのタイミングで質問してくれますか | 質問を待つだけの姿勢だと、御社側が都度判断を迫られる |
| 定例の報告頻度と方法はどうなっていますか | 兼任の担当者が無理なく確認できる頻度かが分かる |
| 公開後のサポート範囲はどこまでですか | 保守や運用まで任せられるかどうかが変わる |
御社側からうまく言葉にできない要望があっても、担当者から具体的な質問で引き出してくれる相手であれば、専任担当者がいなくても要件定義は進められます。
具体的な要件定義の進め方は、次の見出しで説明します。
要件定義や仕様のすり合わせは誰がどこまで担当すればよいですか
専任担当者がいなくても、経営者や兼任の担当者が要点に答えるだけで要件定義は進められます。
制作会社側が質問形式でヒアリングしてくれるなら、御社側は次のような質問に答えるだけで十分です。
- 今のサイトで困っていることは何か
- 必ず残したいページや機能は何か
- 既存のお問い合わせデータや会員情報を引き継ぐ必要があるか
実装者として見落とされやすいのが、問い合わせフォームの通知先メールアドレスと自動返信設定の引き継ぎです。この設定は担当者の記憶だけに残っていることが多く、リニューアル後に問い合わせが担当者に届かなくなるという事態につながります。ヒアリングの際に必ず確認すべき項目です。
要件が固まった後、実際の作業が仕様どおり進んでいるかの確認方法は、次の見出しで説明します。