リニューアル後の効果測定は何から始めればよいですか
公開前の数値を基準値として記録し、比較する指標をあらかじめ固定することが最初の一歩です。指標を後から決めると、公開前のデータが残っておらず比較ができなくなります。
効果測定の準備チェックリスト
リニューアルの目的が見た目の刷新だけに閉じていると、公開後に何を測ればよいか分からなくなります。準備段階で次の3点を決めておくと、公開後の効果測定がぶれません。
- 比較する指標を先に決めます。表示速度、検索での見え方、問い合わせ件数など、何を良くしたいかを絞ります。所要時間の目安は、社内での検討も含めて1週間程度です。
- 目的にセキュリティ水準の向上も含めます。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2025年3月に「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版を公開しており、CMSやプラグインの更新が滞った古いサイトは見直しの対象になります(出典: IPAプレスリリース「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開」)。
- 表示速度の目標値を数値で決めておきます。Core Web Vitalsは2021年6月にGoogleの検索ランキングシグナルとして正式採用されており(出典: Google Search Central公式ブログ「Page experience update and more」)、LCPは2.5秒以内、CLSは0.1以下、INPは200ミリ秒以内が良好の基準です。判定の仕組みは次の見出しで詳しく説明します。
つまずきやすい点として、公開直前になって初めて何を比較するか決めようとするケースが多く見られます。制作会社への発注仕様に目標値を含めておくと、公開後の測定がスムーズになります。
比較を始めるタイミングの目安
公開直後のデータは変動が大きく、そのまま比較に使うと判断を誤ります。どの程度の期間を空けて比較すべきかは、後述する手順のなかで説明します。
表示速度の改善はどの指標で判断すればよいですか
Googleが定めるCore Web VitalsのLCP・INP・CLSの3指標が、表示速度と操作性を判断する公式基準です。Core Web Vitalsとは、ページの表示速度と操作性を数値で評価するためにGoogleが定めた指標群のことです。
LCP・INP・CLSの合格基準
3つの指標にはそれぞれ良好とされる基準値があります。
| 指標 | 意味 | 良好の基準 |
|---|---|---|
| LCP(最大コンテンツの描画) | ページ内で最も大きな要素が表示されるまでの時間 | 2.5秒以内 |
| INP(次のペイントまでの操作) | クリックなどの操作から画面が反応するまでの時間 | 200ミリ秒以内 |
| CLS(累積レイアウトシフト) | 読み込み中にレイアウトがずれる度合い | 0.1以下 |
出典: Google Search Consoleヘルプ「Core Web Vitals レポート」(https://support.google.com/webmasters/answer/9205520?hl=ja)
リニューアルの要件定義段階でこの3つの目標値を発注仕様に含めておくと、公開後にそのまま合否判定に使えます。
「良好」と判定される仕組み
この判定は、直近28日間の実際の利用者データをもとに75パーセンタイル値で評価される仕組みです(出典: Google Search Consoleヘルプ「Google におけるパフォーマンス」(https://support.google.com/webmasters/answer/10268906?hl=ja))。75パーセンタイル値とは、計測した閲覧の75%が基準値以内に収まっているかを見る考え方です。一部の遅い環境だけで判定されるわけではありません。
これらの数値はSearch Consoleの管理画面から無料で確認できます。検索結果での見え方を判断する指標については、次の見出しで説明します。
検索結果での見え方はどの指標で判断すればよいですか
Search Consoleのクリック数・表示回数・CTR・平均掲載順位の4指標で、検索結果上の見え方の変化を確認します。
4指標の意味と見方
Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、次の4指標が確認できます。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| クリック数 | 検索結果から御社のサイトへ実際にクリックされた回数 |
| 表示回数 | 検索結果に御社のサイトが表示された回数 |
| CTR(クリック率) | クリック数を表示回数で割った値 |
| 平均掲載順位 | 検索結果における御社のサイトの掲載順位の平均 |
出典: Google Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンス レポート(検索結果): 概要と基本設定」(https://support.google.com/webmasters/answer/7576553?hl=ja)
リニューアル前後でこの4指標を比較すると、表示速度の改善だけでは分からない変化が見えます。例えば表示回数が変わらないのにクリック数だけ増えていれば、タイトルや説明文の改善が効いていると判断できます。逆に平均掲載順位が上がったのにクリック数が伸びない場合は、見出しの見直しが必要な合図です。
具体的にどの期間を切り出して比較するかは、次の見出しで手順として説明します。
リニューアル前後のデータを正しく比較する手順は
公開前の基準値を記録し、公開直後の変動期間を除いてから同じ期間幅で比較するという3手順で進めます。
- 公開前に、これまでの表示速度と検索パフォーマンスの数値を記録します。所要時間の目安は、Search Consoleのデータ確認も含めて30分程度です。
- 公開後は、数値が落ち着くまで比較を待ちます。つまずきやすい点は、公開直後の数日は検索エンジンによる再クロールとインデックス更新が進行中で、数値が一時的に乱れやすいことです。
- データが落ち着いたら、公開前と同じ期間幅を切り出して比較します。Search Consoleの比較機能を使うと、期間を指定して数値の増減を確認できます。
比較する際は、期間の長さをそろえることが重要です。公開前が3か月分、公開後が2週間分では、季節要因や母数の違いで正しく比較できません。
数値を比較して悪化が見られた場合の対処は、次の見出しで説明します。
指標が悪化した場合、まず何を疑うべきですか
多くはリダイレクト設定の漏れやnoindexタグの残存など、公開作業時の設定ミスが原因です。
よくある設定ミスの一覧
公開直後に指標が悪化した場合、次のような設定ミスが起きていないか確認します。
| 設定ミス | 起こりやすい影響 |
|---|---|
| 301リダイレクトの設定漏れ | 旧URLの評価が引き継がれず、順位が下がる |
| noindexタグの本番残存 | 該当ページが検索結果から除外される |
| robots.txtの誤設定 | 検索エンジンがサイト全体をクロールできなくなる |
| サイトマップの更新漏れ | 新しいページがインデックスされにくくなる |
| 構造化データの欠落 | 検索結果での表示要素が失われる |
実装者として特に見落としやすいのは、検証環境用のrobots.txtに書いたDisallow:/を、そのまま本番環境に残してしまうケースです。この1行が残っていると、検索エンジンがサイト全体をクロールできなくなり、複数の指標が同時に悪化します。公開直後は、まずこの設定だけでも確認する価値があります。
多くの原因は表の項目を1つずつ確認すれば特定できます。原因の切り分けが自社では難しい場合の対応は、次の見出しで説明します。
自社での効果測定や改善対応が難しい場合はどうすればよいですか
指標の意味は分かっても、改善対応まで自社で巻き取るのは負担が大きく、外部の実装者に相談するのも一つの方法です。
Core Web Vitalsの数値が悪化していると分かっても、原因が画像の圧縮不足なのか、読み込むコードの量なのか、サーバの応答なのかを切り分けるには技術的な知識が要ります。専任のWeb担当者がいない御社では、指標を見る担当者はいても、コードを修正できる担当者がいないという状況も珍しくありません。
このギャップを埋めるには、測定だけでなく実装まで一貫して対応できる相手に相談する方法があります。当社ノーティックラボでは、代表自身がUC Berkeley Data Science在学のAIエンジニアとして、Core Web Vitalsの改善からRAGやComputer Visionを使った仕組みづくりまで、コンサルではなく実装者として対応しています。指標を見て終わりにせず、コードの修正まで任せたい場合は、無料診断(/diagnostic)から現状のCore Web Vitalsとサイト構成を確認できます。
よくあるご質問
この記事に関して多い質問と回答をまとめます。
リニューアル後、効果はどれくらいの期間で判断すればよいですか
目安として、公開から最低でも4週間は必要です。Core Web Vitalsの良好判定は直近28日間の利用者データをもとに算出される仕組みのため、それより短い期間では正しい判定になりません。
Core Web Vitalsが「改善が必要」のままでも公開して問題ありませんか
公開自体は可能ですが、目標値として残したまま改善を続けることをお勧めします。前述のとおりLCPは2.5秒以内、CLSは0.1以下、INPは200ミリ秒以内が良好の基準であり、これを下回っても即座に検索結果から除外されるわけではありません。
アクセス数が一時的に減っても心配ない場合はありますか
公開直後は検索エンジンの再クロールとインデックス更新が進行中で、数値が一時的に乱れることがあります。前述の変動期間を待ってから、同じ期間幅で比較して判断することが重要です。
Search Consoleのデータはいつから確認できますか
プロパティを登録し所有権を確認した時点からデータの収集が始まります。確認からデータが安定するまでの日数は案件により変動しますので、複数週分のデータがたまってから判断することをお勧めします。
効果測定は無料のツールだけで十分ですか
Search Consoleは無料で利用でき、本記事で紹介した表示速度と検索での見え方の指標はすべて無料の範囲で確認できます。中小企業の効果測定であれば、まずは無料のツールで十分です。