まず何から始める?リニューアルの前に固めるべき「目的と現状分析」
リニューアルは「デザインを新しくすること」ではなく「達成したいビジネス課題を解決すること」が出発点です。目的が曖昧なまま進めると、公開後に成果を測定できなくなります。
リニューアルの目的を1文で言語化する方法
目的の言語化とは、「誰の、どの行動を、どれだけ変えるか」を1文で表現することです。この文が書けない段階でリニューアルを発注しても、制作会社は適切な提案を返せません。
よく使われるリニューアル目的の型を下表に示します。自社の状況に最も近い行をひとつ選び、数値部分を具体化してください。
| 目的の型 | 例文 |
|---|---|
| リード獲得の改善 | 「問い合わせフォームへの到達率を現状の◯%から◯%に引き上げる」 |
| 採用強化 | 「説明会エントリ数を月◯件から◯件に増やす」 |
| 信頼性の向上 | 「初回訪問者が会社概要ページを閲覧する割合を◯%以上にする」 |
| セキュリティ対応 | 「CMSを最新バージョンに刷新し、脆弱性スキャンの合格基準を満たす」 |
セキュリティを目的に加えることは、経営層への説明根拠としても有効です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2025年3月に「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版を公開し(出典: IPA プレスリリース「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版を公開」)、CMSやプラグインの更新が滞ったサイトに対するリニューアル時の見直しを推奨しています。セキュリティ要件をリニューアルの目的に明示することで、社内稟議の説得力が増します。
つまずきやすい点: 目的を複数列挙しがちですが、KPIは最大2つに絞ってください。3つ以上になると施策の優先順位が決まらず、制作会社への指示も曖昧になります。
現状サイトのデータを取得・分析するポイント
現状分析は「感覚」ではなく「計測値」から始めます。以下の4項目を最初に確認してください。
アクセス数と流入経路の把握(所要時間の目安: 30分) Google アナリティクスで過去12ヶ月のセッション数、流入チャネル別比率、直帰率を書き出します。過去データが取れていない場合は、リニューアル前に計測環境を整えることが先決です。
Core Web Vitals スコアの確認(所要時間の目安: 15分) PageSpeed Insights(Google公式ツール)に自社URLを入力し、3指標のスコアを記録します。Googleは2021年6月より Core Web Vitals を検索ランキングシグナルとして正式採用しています(出典: Google Search Central 公式ブログ「Page experience update and more」)。現時点のスコアが下表の「良好」基準を下回っている場合は、要件定義フェーズで改善目標値として明記してください。
指標 意味 「良好」の閾値 LCP(Largest Contentful Paint) メインコンテンツの表示速度 2.5秒以内 CLS(Cumulative Layout Shift) レイアウトのずれ 0.1以下 INP(Interaction to Next Paint) 操作への応答速度 200ミリ秒以内 コンバージョンポイントの特定(所要時間の目安: 20分) 問い合わせフォーム、資料DLボタン、電話タップなど、現状のサイトでどのページがどの行動を促しているかをリスト化します。存在しない場合はリニューアルで新設する要件として記録します。
競合サイトとの定性比較(所要時間の目安: 1時間) 競合3社のサイトを、スマートフォンで実際に操作して確認します。モバイル表示の崩れ、読み込み速度、問い合わせまでのタップ数を自社と比べてください。Googleはモバイルファーストインデックス(MFI)を採用しており、スマートフォン版ページが評価の基準になっています(出典: Google Search Central 公式ドキュメント)。
実装者からの補足: 当社がリニューアルの初期ヒアリングを行うと、現状のアクセスデータを「取得したことがない」とおっしゃるケースが少なくありません。計測環境がない状態でリニューアルを進めると、公開後の改善施策に使える比較ベースラインが永久に失われます。着手前にGoogle アナリティクスとGoogle サーチコンソールの設置を確認することを強くお勧めします。
現状分析で取得したデータは、次のステップである要件定義とスケジュール策定の判断材料になります。「何を直すか」より先に「現状が何点か」を計測することが、後工程の手戻りを減らす最短経路です。
ステップ1〜2:要件定義とスケジュール策定
要件定義では「必須機能」と「あれば嬉しい機能」を明確に分離することが最重要です。この分離を怠ると、後工程での仕様変更が増え、納期と予算の両方が膨らみます。
機能要件・非機能要件を整理するシートの作り方
要件定義とは、サイトに実装する機能や満たすべき条件を言語化して合意する工程です。「なんとなく問い合わせフォームが必要」という状態では、制作会社との認識齟齬の原因になります。
要件は大きく2種類に分けて整理します。
| 区分 | 定義 | 記載例 |
|---|---|---|
| 機能要件 | サイトが「何をする」かの仕様 | 問い合わせフォーム、会員ログイン、多言語対応 |
| 非機能要件 | サイトが「どうあるべきか」の品質基準 | 表示速度、セキュリティ基準、アクセシビリティ対応 |
整理する際は、以下の3段階で優先度を付けます。
- Must(必須): これがなければリニューアルの目的を達成できない機能
- Want(希望): あると効果が上がるが、なくても目的は達成できる機能
- Nice to have(余裕があれば): 将来的に検討する機能
この分類を社内で合意してから制作会社に伝えることで、見積もりの精度が上がり、後からの仕様追加を防げます。つまずきやすい点として、「Want」と「Must」の境界を担当者が一人で判断するケースがあります。意思決定者(経営層や上長)を要件定義の場に引き込み、合意を取ることを推奨します。
スケジュールに必ず入れるべきバッファ期間
スケジュール策定で最も多い失敗は、制作会社側の作業時間しか確保しないことです。御社の確認・承認作業にも相応の時間がかかります。
一般的なリニューアルフェーズと、各フェーズで必要なバッファの考え方を示します。
| フェーズ | 主な作業 | バッファを設けるべき理由 |
|---|---|---|
| 要件定義・情報設計 | 機能整理、サイトマップ作成 | 社内合意に時間がかかるケースが多い |
| デザイン制作 | デザイン案の提示と修正 | 修正ラウンドが想定より増えやすい |
| コーディング・CMS構築 | 実装と動作確認 | 外部連携(決済、CRMなど)で不具合が出やすい |
| コンテンツ入稿 | テキスト・画像の準備と入稿 | 社内稟議や素材準備が遅延しやすい |
| 公開前確認 | リダイレクト設定、計測確認 | 見落としの修正に想定外の時間がかかる |
スケジュール上の実践的なポイントを3つ挙げます。
- 公開日から逆算して組む: 「いつ公開したいか」を先に決め、各フェーズの完了日を逆算します。根拠のない着手日ベースのスケジュールは遅延しやすいです。
- 各フェーズに確認期間を明示する: 制作会社の作業完了日と、御社側の確認完了日を別々に記載します。「完了後3営業日で確認・差し戻し」と明記するだけで、全体の進行が引き締まります。
- フェーズ間に2〜5営業日のバッファを置く: 特にコンテンツ入稿と公開前確認の前後は、遅延が次工程に波及しやすいため優先的にバッファを確保します。
公開前確認の具体的な手順はステップ6で詳しく解説します。スケジュール管理の前提となる制作会社の選定方法については、次のセクション(ステップ3〜4)で取り上げます。
ステップ3〜4:制作会社の選定と情報設計(IA)
制作会社の選定基準は「デザインの好み」よりも「自社の課題を理解した提案をしているか」で判断するべきです。情報設計(IA)はユーザの動線を決める工程で、ここを省略するとデザイン完成後に大幅な手戻りが発生します。
見積もり依頼書(RFP)に必ず記載する7項目
RFPとは、制作会社に見積もりを依頼する際に渡す要件定義書のことです。RFPの質が低いと、複数社から受け取った見積もりの比較ができなくなります。
前セクションで整理した要件定義シートをそのままRFPの骨格として使えます。以下の7項目を必ず記載してください。
| 番号 | 記載項目 | 記載例・補足 |
|---|---|---|
| undefined | リニューアルの目的 | 「問い合わせ数を月10件から20件に増やす」のように1文で |
| undefined | 対象ユーザ | ターゲットの職種、年齢層、検索行動の特徴 |
| undefined | 必須機能の一覧 | 前セクションのMustリストをそのまま転記 |
| undefined | 参考サイト | 好みに近いサイトを2〜3件。「デザインが好き」「構成が好き」と理由も添える |
| undefined | 現行サイトの情報 | ページ数、CMS種別、ドメイン、月間セッション数の概算 |
| undefined | 希望公開時期 | 厳守か目安かを明記する |
| undefined | 予算の上限 | 「上限○○万円」と明示すると提案の精度が上がる |
RFPを受け取った制作会社が質問を返してくるか、どの質問を返してくるかも選定の判断材料になります。要件の曖昧な部分を指摘せずにすぐ見積もりを出してくる会社は、後工程で仕様認識のズレが発生しやすい傾向があります。
提案書・見積もりの比較で確認する3点
- 課題への言及があるか。 御社のビジネス課題に触れた提案かどうか。「美しいサイトを作ります」だけでは不十分です。
- 費用の内訳が明示されているか。 「一式」でまとめられていると後から追加費用が発生しやすくなります。デザイン、コーディング、CMS設定、テスト、公開作業を項目別に確認してください。
- 保守・運用費の有無が書かれているか。 公開後の更新対応や障害対応の費用が含まれているかを確認します。
サイトマップとワイヤフレームの確認手順
情報設計(IA)フェーズでは、サイトマップとワイヤフレームの2種類の成果物を制作会社が作成します。担当者はこれらを承認する前に、以下の手順で確認してください。
ステップ1:サイトマップの確認(目安:1〜2日)
サイトマップとは、サイト全体のページ構成を階層で示した一覧図です。確認時のつまずきポイントは「現行サイトにあるページの扱い」です。統合・削除・URL変更が発生するページを漏れなく把握していないと、後工程の301リダイレクト設定で混乱します。
確認時に問うべき質問は以下の3つです。
- 現行サイトの全URLを洗い出したか。
- 削除するページへの被リンクや内部リンクの処理方針は決まっているか。
- 新規追加ページのURL構造は現行サイトと一貫しているか。
ステップ2:ワイヤフレームの確認(目安:3〜5日)
ワイヤフレームとは、各ページのレイアウトをモノクロの簡略図で表したものです。デザインカラーや画像は入っておらず、コンテンツの配置と導線を確認するための資料です。
確認時に見るべきポイントを以下に整理します。
| 確認項目 | 確認の観点 |
|---|---|
| ファーストビュー | 訪問者が最初に目にする領域にCTAが配置されているか |
| ナビゲーション | ユーザが目的のページに3クリック以内で到達できるか |
| コンバージョンポイント | 問い合わせ・資料DLへの導線が各ページに設けられているか |
| スマートフォン表示 | PC版とは別にSP版のワイヤフレームがあるか |
| コンテンツ量の見積もり | テキスト・画像の量が現実的か(空白の多すぎるレイアウトは要確認) |
ワイヤフレーム承認後にレイアウトを大きく変更すると、デザイン費用と工期の両方に影響します。「なんとなく気になる」を承認前に言語化して伝えることが、担当者の最重要業務です。
ステップ3:社内関係者への共有(目安:2〜3日)
サイトマップとワイヤフレームは営業部門・経営層など、実際にサイトを使う社内関係者にも事前確認を取ります。デザイン完成後の「やっぱりここを変えたい」を防ぐためです。承認者と確認者を事前に決め、期日を設けて回収してください。
制作会社選定から情報設計完了までの典型的な期間
| フェーズ | 目安の期間 |
|---|---|
| RFP送付〜提案書受領 | 1〜2週間 |
| 提案比較・社内決裁・契約 | 1〜2週間 |
| サイトマップ作成・確認 | 1〜2週間 |
| ワイヤフレーム作成・確認 | 2〜3週間 |
| ステップ3〜4 合計 | 5〜9週間 |
このフェーズを「制作会社が決まれば終わり」と捉えると、サイトマップとワイヤフレームの確認を軽く扱いがちです。デザインフェーズに入ってから構成を変えようとすると、修正コストは数倍になります。情報設計への時間投資は、後工程のリスク低減に直接つながります。
ステップ5:デザイン・コーディング・CMS構築フェーズの進め方
このフェーズで担当者が行うべき主な作業は「コンテンツの入稿」と「定期的な進捗確認」です。制作会社へすべて任せきりにすると、公開直前に想定外の仕様差異が発覚するリスクがあります。
コンテンツ入稿で担当者がつまずきやすい3つのポイント
コンテンツ入稿は担当者側の作業の中で最も工数がかかる工程です。制作スケジュールの遅延の多くはこの工程で発生します。
つまずきポイント1:テキスト原稿の文字数と形式が決まっていない
制作会社からテンプレートや文字数ガイドが提供されない場合、担当者が自己判断で用意した原稿がデザインと合わず、修正が発生します。入稿前に「見出し・本文・キャプションの上限文字数」を制作会社に書面で確認してください。
つまずきポイント2:画像の解像度と権利処理が未整理
社内で撮影した製品写真や外部から購入した素材の権利処理が曖昧なまま入稿するケースがあります。Web用途の利用許諾を確認し、画像ファイルはRGB形式・推奨サイズで提出します。
つまずきポイント3:承認ルートが長く入稿が滞る
法務確認や経営層の表現チェックが必要な原稿は、入稿期限よりも2週間以上早く社内回覧を開始する必要があります。承認者と期限を事前に明記したスケジュール表を用意すると遅延を防げます。
技術的ハマりポイント:CMS移行時のデータ形式の不整合
CMS移行は「データを移すだけ」に見えますが、実装者として最もトラブルが集中する工程です。以下の3点は見落とされやすいので、制作会社と事前に確認してください。
| 確認項目 | 具体的なリスク | 担当者の確認方法 |
|---|---|---|
| 文字コード | 旧CMSが Shift-JIS の場合、新CMSへの移行時に文字化けが発生する | 移行前に制作会社へ旧CMSの文字コードを伝える |
| 画像パス | 旧サイトのURLで画像を参照している記事は、移行後にリンク切れになる | 全ページの画像リンクをスクリーニングするよう指示する |
| カスタムフィールド | 旧CMSの独自フィールドは新CMS側で手動マッピングが必要になる | フィールド一覧を旧CMS管理画面から書き出して提出する |
当社の実装経験では、既存記事が50ページを超える案件では特に画像パスの修正作業量が読みにくく、スケジュールに2〜3営業日のバッファを追加することを推奨しています。
このフェーズで担当者が管理すべきCore Web Vitals目標値
デザイン・コーディング工程では、制作会社が実装した段階でPageSpeed Insightsを使って計測し、目標値への到達を確認することが重要です。
Google Search CentralのCore Web Vitals公式ドキュメントによると、Googleが「良好」と定める基準値は以下のとおりです。この基準はGoogleが2021年6月に検索ランキングシグナルとして正式採用しています。
| 指標 | 意味 | 良好の閾値 |
|---|---|---|
| LCP(Largest Contentful Paint) | ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間 | 2.5秒以内 |
| INP(Interaction to Next Paint) | ユーザ操作への応答速度 | 200ミリ秒以内 |
| CLS(Cumulative Layout Shift) | 表示後にレイアウトがズレる度合い | 0.1以下 |
これらの目標値は、ステップ2の要件定義の段階で制作会社への仕様として明示しておくことが理想です。コーディング後半での修正は工数とコストが増大するため、デザイン承認の直後に初回計測を実施するよう制作会社へ依頼してください。
セキュリティ要件の確認もこのフェーズで
CMS構築が完了したタイミングで、セキュリティ設定の初期確認も行います。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2025年3月に「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版を公開し(出典: IPAプレスリリース https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20260327.html)、CMSやプラグインの脆弱性対応を取り上げています。リニューアルで新CMSを導入する場合は、以下を構築完了後に確認してください。
- 管理画面のURL変更または2段階認証の設定
- プラグインを最新バージョンに更新した状態でのリリース
- SSL証明書の設定と全ページのHTTPS化
- 不要なプラグイン・テーマの削除
これらの確認は公開前チェックリスト(ステップ6で詳述)とも重なりますが、構築段階で一度整理しておくと最終確認の工数を減らせます。
ステップ6:公開前の最終確認チェックリスト
公開前確認で最も見落とされやすいのは、URLの移行設定(リダイレクト)とアナリティクスの計測設定です。どちらも公開後に発覚すると、SEOへの悪影響と効果測定の空白期間が生じます。
このフェーズは「問題を見つけるためのフェーズ」と位置づけてください。デザインやコーディングが完成した後でも、確認作業によって修正が必要な箇所は必ず出てきます。
301リダイレクト・URLマッピングの確認手順
301リダイレクトとは、旧URLへのアクセスを新URLへ自動転送する設定のことです。この設定が不十分だと、検索エンジンが旧ページの評価を新ページに引き継げず、順位が一時的に大きく下がるリスクがあります。
確認作業は以下の順序で進めてください。
URLリストの突き合わせ(目安:半日〜1日) 旧サイトの全URLと新サイトのURLを一覧表にして対応を確認します。Google Search Consoleの「インデックス」レポートから旧URLを抽出すると漏れが少なくなります。
リダイレクトマップの作成(目安:半日) 旧URL→新URLの対応表を制作会社と共有し、設定ミスの照合に使います。1対1の対応が取れないページ(削除するページなど)は最も近い関連ページへ転送先を決めておきます。
設定の動作確認(目安:2〜3時間) ステージング環境(本番公開前のテスト用環境)で実際に旧URLへアクセスし、正しく転送されるかブラウザと確認ツールで検証します。転送先が302(一時転送)になっていないかも必ず確認します。
転送ループの確認(目安:1時間) AがBへ、BがAへ転送するループ状態になっていないかをチェックします。CMSの移行直後に発生しやすい問題です。
301リダイレクトの詳細な設定手順は、別記事「URL移行で検索順位を下げない301リダイレクト完全ガイド」で解説しています。本セクションでは確認観点に絞って記載します。
公開前に確認すべきリダイレクト関連の項目は以下のとおりです。
| 確認項目 | 確認方法 | 担当 |
|---|---|---|
| 旧URL→新URLの301設定 | ブラウザ/curl コマンド | 制作会社 |
| リダイレクトが302になっていない | HTTPヘッダ確認ツール | 制作会社 |
| 転送ループが発生していない | 確認ツール/目視 | 制作会社 |
| 削除ページの転送先が決まっている | URLマップ突き合わせ | 担当者 |
| 正規URLにwwwあり・なしが統一されている | ブラウザ確認 | 制作会社 |
Googleアナリティクス・サーチコンソールの再設定
計測設定の不備は、公開後の改善サイクルに直接影響します。「公開後30日間のデータが取れていなかった」という事態は、計測設定の再確認だけで防げます。
確認が必要な設定は3系統あります。
Googleアナリティクス4(GA4)
- プロパティのトラッキングコードが新サイトの全ページに設置されているか
- コンバージョンイベント(問い合わせ送信、資料ダウンロードなど)が正しく計測されているか
- 除外フィルタ(社内IPなど)が引き継がれているか
リニューアルに伴いドメインが変わる場合は、新ドメイン用のプロパティを新規作成するか、既存プロパティのデータストリームを更新する必要があります。CMSを乗り換えた場合は、フォーム送信のイベント計測が旧設定のままになっているケースが多いため、実際にテスト送信して確認してください。
Google Search Console
- 新URLのプロパティが登録されているか(旧URLのプロパティは残したまま新規追加する)
- サイトマップ(sitemap.xml)を新規送信しているか
- 所有権確認が完了しているか
Search Consoleのインデックス登録リクエストは公開後すぐに行うと、新URLの評価を早期に確認できます。
フォーム・コンバージョンの動作テスト
| 確認項目 | 確認方法 | 担当 |
|---|---|---|
| お問い合わせフォームの送信と受信 | テスト送信・メール確認 | 担当者 |
| GA4のコンバージョンイベント発火 | リアルタイムレポート | 制作会社 |
| サンクスページへの遷移 | ブラウザ確認 | 担当者 |
| 資料ダウンロードのURL有効性 | ブラウザ確認 | 担当者 |
公開前チェックリスト:全体まとめ
下表は、公開前に担当者が最終確認すべき項目を領域別にまとめたものです。制作会社との役割分担の確認にも使えます。
| 領域 | 確認項目 | 主担当 |
|---|---|---|
| リダイレクト | 旧URL→新URLの301設定完了 | 制作会社 |
| リダイレクト | 転送ループなし・302でないことの確認 | 制作会社 |
| 計測 | GA4トラッキングコードの全ページ設置 | 制作会社 |
| 計測 | コンバージョンイベントの動作確認 | 制作会社+担当者 |
| 計測 | Search Consoleへのサイトマップ送信 | 制作会社 |
| フォーム | 問い合わせフォームの送受信確認 | 担当者 |
| 表示 | 主要ブラウザでの表示崩れ確認 | 制作会社+担当者 |
| 表示 | スマートフォン表示の確認 | 担当者 |
| セキュリティ | SSL証明書の有効性(https化) | 制作会社 |
| SEO | metaタイトル・ディスクリプションの設定 | 制作会社+担当者 |
| SEO | noindexタグが本番環境に残っていないこと | 制作会社 |
| 法的 | プライバシーポリシー・特商法表記の更新 | 担当者 |
このリストは進行確認に使うためのものです。失敗原因の事前把握や詳細な落とし穴の解説は、別記事「ホームページリニューアル失敗の原因と対策」で扱っています。
担当者向けのポイント 公開日の直前にまとめてチェックするのではなく、公開の1週間前には全項目の確認を終わらせるスケジュールを制作会社と合意してください。修正が見つかった場合の対応時間を確保するためです。
ステップ7:公開後の効果測定と改善サイクルの回し方
公開はゴールではなく、改善サイクルの起点です。目的設定フェーズで定めたKPIを計測し、公開後30日・90日の2回レビューを行うことが標準的な運用です。
リニューアル前後のデータを比較することで、施策の効果を客観的に評価できます。「なんとなく良くなった気がする」で終わらせず、数値で判断する習慣を最初から組み込んでおくことが重要です。
KPI設定の考え方:リニューアル目的別の指標例
KPIは「リニューアルの目的」と1対1で対応させます。目的と無関係な指標を追いかけると、改善の優先順位が曖昧になります。
以下の表は、よくあるリニューアル目的とそれに対応する主要KPIの例です。案件の性質により適切な指標は変動しますので、制作会社とも合意した上で確定させてください。
| リニューアルの目的 | 主要KPI(例) | 計測ツール |
|---|---|---|
| 問い合わせ数を増やす | コンバージョン率、フォーム到達数 | GA4のコンバージョン設定 |
| 採用応募を増やす | 採用ページ滞在時間、応募フォーム完了数 | GA4、Search Console |
| ブランド認知を高める | 指名検索数、新規ユーザ数 | Search Console、GA4 |
| 既存顧客のサポートコスト削減 | FAQ閲覧数、問い合わせ件数の変化 | GA4、CRMとの照合 |
| 表示速度の改善 | Core Web Vitalsのスコア変化 | PageSpeed Insights |
KPIは最大2つに絞ることを推奨します。指標が多いほど、チーム内の議論が散漫になります。
設定したKPIは必ず「公開前の基準値」を記録しておいてください。基準値がなければ、改善幅を定量的に示すことができません。
継続改善に使える定量データの読み方
公開後のレビューは「30日後」と「90日後」の2回実施することを基本とします。
30日後レビューの確認観点
30日時点ではSEOの順位変動がまだ落ち着いていないケースがあります。このタイミングでは、検索順位よりも「サイト内の行動指標」を優先して確認します。
- フォームや問い合わせボタンへのクリック率が公開前より改善しているか
- 離脱率が高いページはどこか(GA4のエンゲージメントレートの逆数で確認)
- 404エラーが発生しているURLがないか(Search Consoleのカバレッジレポートで確認)
404エラーが発生している場合は、ステップ6で設定したリダイレクトが正しく機能していない可能性があります。URLマッピングリストと照合して即座に修正します。
90日後レビューの確認観点
90日が経過すると、Googleのクロールが安定し、検索パフォーマンスの傾向が読み取れるようになります。
- Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートで、主要キーワードの表示回数とクリック率を公開前の同期間と比較する
- 目標KPIの達成状況を確認し、達成していない場合はどのページ・どの導線がボトルネックかを特定する
- Core Web Vitalsスコアが目標値を維持しているかをPageSpeed Insightsで再計測する
改善サイクルの進め方
レビュー後は以下の3ステップで次のアクションに移ります。
- 課題の特定: データをもとに「どのページが、なぜ、期待を下回っているか」を1文で言語化する
- 仮説の設定: 「CTAボタンの位置が下すぎる」など、具体的な原因仮説を立てる
- 施策の実行と再計測: 修正を加え、2〜4週間後に同じ指標を再確認する
このサイクルを回し続けることが、リニューアル投資の費用対効果を最大化する唯一の方法です。1回のリニューアルで完成するサイトはなく、公開後の改善こそが成果を左右します。
改善サイクルを回せているかの自己チェック
- 公開前の基準値(KPI)を記録している
- GA4のコンバージョン設定が公開時に完了している
- Search Consoleの所有権確認が完了している
- 30日後レビューの日程が社内カレンダーに登録されている
- 90日後レビューの日程が社内カレンダーに登録されている
- レビュー結果を共有する担当者と形式が決まっている
効果測定の体制が整っていても、何をどう読めばよいか判断に迷うケースは少なくありません。御社のKPI設定やGA4の読み方について具体的に相談したい場合は、無料診断からご相談ください。サイトの現状データをもとに、優先すべき改善箇所を整理します。