Web制作2026.09.28·8 min read·Nortiq Labs

リニューアルのアクセシビリティ要件5項目の決め方

リニューアルでアクセシビリティは、どこまで要件にしますか?

まず参照する基準を1つ決め、その中で対応する範囲を決めます。基準を決めずに「アクセシビリティに配慮する」と書くと、要件として機能しません。

ウェブアクセシビリティとは、目や耳、手の状態や利用する機器にかかわらず、同じ情報にたどり着けるようにすることです。対応の範囲は連続的で、どこまでやれば終わりという線が自動的には決まりません。だからこそ、発注側が線を引く必要があります。

決める順番は次の3つです。

  1. 参照する基準を決める(所要時間の目安: 情報源の確認を含めて2時間程度)
  2. 対応する範囲をページ単位で決める(同: サイトの構成を見ながら1時間程度)
  3. 制作会社に確認する項目を書き出す(同: 1時間程度)

参照する基準を先に決める

基準を1つ決めると、要件の書き方と受け入れの判断が両方決まります。国内のウェブアクセシビリティではJIS規格が、国際的にはW3Cが公開する基準が参照されることが一般的です。

ただし、規格の版や適用の考え方は更新されます。要件を確定させる前に、デジタル庁や日本産業標準調査会(JISC)の公表資料で、現在参照すべき基準とその版を確認してください。制作会社に「どの基準のどの水準を満たすか」を提案してもらう方法も取れます。

対応する範囲をページ単位で決める

全ページを同じ水準にする必要はありません。到達する人が多いページと、問い合わせや申し込みにつながるページを優先し、それ以外は段階的に広げる決め方が現実的です。

つまずきやすい点は、PDFや動画の扱いです。掲載しているPDFの中身までは、ページの作り方を直しても改善しません。PDFを対象に含めるかどうかを最初に決めておかないと、受け入れの段階で解釈が分かれます。

公的な情報源で最新の状況を確認する

自社サイトにどのような対応が求められるかは、事業の内容と規模によって異なります。義務の有無や範囲について、デジタル庁や所管の官公庁が公開している資料で確認することをおすすめします。

この記事では、要件として何をどう書くかという発注側の実務に絞って説明します。制度上の位置づけの確認は、公的な情報源で行ってください。

なぜ「配慮する」という要件では足りないのですか?

何をもって満たしたと判断するかが決まらないため、検収の基準にならないからです。測れる形に書き換える必要があります。

検収できない要件になる理由

「アクセシビリティに配慮する」という一文は、制作会社にとっても発注側にとっても判断できません。納品されたサイトを見て、配慮されたかどうかを判定する方法が無いためです。

結果として、次のどちらかが起きます。制作会社が独自の解釈で対応し、発注側の期待と食い違う。あるいは、実質的に何もされないまま納品される。どちらも検収の場で初めて判明します。

書き換えの方向は1つです。「どのページの」「どの項目が」「どういう状態なら満たす」と分解します。分解できない項目は、要件から外して別の方法で扱います。

表示速度の基準との違い

参考になるのは、表示速度の扱いです。表示速度には公式の数値基準があります。GoogleはCore Web Vitalsの良好の基準として、LCP(最大コンテンツの描画)を2.5秒以内、INP(次のペイントまでのインタラクション)を200ミリ秒以内、CLS(累積レイアウトシフト)を0.1以下と定めています。評価は実際の利用者データの75パーセンタイルで行われます。

出典: web.dev「Web Vitals」、Google Search Central

数値と測り方が決まっているため、「LCPを2.5秒以内にする」という要件は、そのまま検収の基準になります。

アクセシビリティには、これと同じ形の単一の数値はありません。項目ごとに「満たす」「満たさない」を判定する形になります。だからこそ、どの項目を対象にするかを発注側が列挙する必要があります。

つまずきやすい点は、自動チェックツールの結果を要件にすることです。ツールで検出できる項目は一部に限られ、点数が高くても実際には使いにくい場合があります。ツールの点数を唯一の基準にせず、項目ごとの確認と併用してください。次のセクションで、書ける項目を具体的に整理します。

要件として書ける項目は何ですか?

画像の代替テキスト、見出しの階層、フォームのラベル、色のコントラスト、キーボード操作の5つは、中小企業のサイトでも具体的に指定できます。いずれも判定の方法が明確で、検収の場で確認できます。

項目 要件の書き方 確認の方法
画像の代替テキスト 内容を伝える画像に代替テキストを設定する。装飾目的の画像は空にする 対象ページの画像を一覧で確認する
見出しの階層 見出しを見た目ではなく階層で設定し、段を飛ばさない ページの見出し構造を一覧で確認する
フォームのラベル 入力欄ごとにラベルを対応づける 入力欄を順に確認する
色のコントラスト 本文と背景のコントラスト比が基準を満たす 配色の組み合わせごとに測定する
キーボード操作 マウスを使わずに全ての操作ができる 対象ページをキーボードだけで操作する

この表を仕様書に添えれば、制作会社との解釈のずれが小さくなります。

代替テキストと見出しの階層

代替テキストは、画像の内容を文字で伝えるための設定です。要件として書くときは、対象を「内容を伝える画像」に限定し、装飾目的の画像は空にすると明記します。すべての画像に文字を入れると、かえって読み上げが煩雑になります。

見出しの階層は、見出しに見えるかどうかではなく、文書構造として正しく設定されているかです。文字を大きくしただけの行は見出しになりません。リニューアルでは新しく作り直すため、最初から階層を設計に含めれば追加の手間はほとんどかかりません。

フォームのラベルとエラー表示

フォームは最も優先度が高い箇所です。入力欄ごとにラベルを対応づけ、どの欄に何を入れるかが分かる状態にします。

あわせて、エラーの表示方法も要件に含めます。色だけで誤りを示すと、色の区別がつきにくい利用者に伝わりません。文字でも誤りの内容と該当の欄を示すよう指定してください。

色のコントラストとキーボード操作

色のコントラストは、参照する基準で必要な比率が定められています。要件には基準の名称と求める比率を書き、配色を決める段階で確認します。デザインが確定した後に指摘すると作り直しになるため、配色の提案を受けた時点で確認するのが実務上は早いです。

キーボード操作は、対象ページをキーボードだけで操作して確認します。つまずきやすい点は、独自に作った開閉式のメニューや画面上に重なる窓です。マウス前提で作られていると、キーボードでは開けない、あるいは閉じられない状態になります。この種の部品を使う場合は、要件に明記してください。

どこから着手すると効果が大きいですか?

問い合わせフォームと、閲覧数の多い上位ページから着手します。全ページを同時に対応するより、到達する人が多い経路を先に直すほうが効果が出ます。

この判断は、アクセシビリティに限った話ではありません。中小企業庁の2022年版中小企業白書では、Webサイトを含むデジタルツールを導入しても、その活用が売上や業務効率の改善につながっていないケースが多いことが示されています。同白書は、デジタル化の「導入」と「活用」の間にギャップがあることを課題として指摘しています。

出典: 中小企業庁「2022年版中小企業白書」第2節

対応したという事実ではなく、実際に使われる経路が改善されたかどうかで判断してください。

フォームを最優先にする理由

フォームは、サイトの中で唯一「操作できないと目的が達成できない」箇所です。読みにくいページは時間をかければ読めますが、送信できないフォームは代わりの手段がありません。

御社のサイトで問い合わせや資料請求のフォームが1つしかない場合、そのフォームが実質的にサイトの出口です。ここが操作できない利用者は、そのまま離脱します。

つまずきやすい点は、外部のサービスで作ったフォームを埋め込んでいる場合です。埋め込んだ部分は制作会社の作業範囲に入らないことがあります。フォームが外部サービスかどうかを確認し、要件の対象に含めるかを明示してください。

閲覧数の多いページから広げる

フォームの次は、閲覧数の上位から順に広げます。アクセス解析で上位10ページを出し、その範囲を最初の対象にする決め方が扱いやすくなります。

上位のページは、リニューアルでも作り直す対象になっていることがほとんどです。新しく作る部分にアクセシビリティを織り込めば、既存ページを個別に直すよりも手間が小さく済みます。

残りのページは、次回の更新に合わせて順次対応する計画にします。対応の予定をページ単位で持っておくと、どこまで進んだかを社内で説明できます。

受け入れ時には何を確認しますか?

要件に書いた項目を1つずつ、対象ページを指定して確認します。確認の方法と対象を契約前に決めておくことが前提です。

確認の対象ページを先に決める

確認するページを、契約前に一覧で決めます。「トップページ、サービス一覧、サービス詳細1ページ、問い合わせフォーム、記事ページ1ページ」のように、型ごとに1ページを選ぶ方法が実務的です。

同じ型のページは同じ部品で作られているため、1ページ確認すれば他のページも同じ状態になっていると判断できます。全ページを確認する取り決めにすると、受け入れの期間が長くなり、費用にも跳ね返ります。

確認の方法を決める

項目ごとに、誰がどうやって確認するかを決めます。次の3つの組み合わせで足ります。

  1. 発注側が画面を操作して確認する(キーボード操作、フォームのエラー表示)
  2. 制作会社が確認結果を一覧で提出する(代替テキスト、見出しの階層)
  3. 測定した数値を提出する(色のコントラスト比)

制作会社が提出する形にする項目は、提出の様式も決めておきます。様式が決まっていないと、確認できない粒度の報告が出てきます。

実装者としてつまずきやすい点

実装の側から見て見落としが多いのは、公開後に追加されるページです。リニューアルの時点では要件を満たしていても、その後に御社の担当者が追加した記事やお知らせが要件から外れていきます。

対策は、更新の手順書に確認項目を入れておくことです。画像を入れるときは代替テキストを書く、見出しは階層で設定する、といった数行の手順があれば、運用の中で維持できます。この手順書の作成を、リニューアルの納品物に含めることをおすすめします。

もう1点は、管理画面から入力した内容がどう出力されるかです。制作会社が作ったページは要件を満たしていても、御社が管理画面から入れた文章の見出しが見た目だけの設定になることがあります。管理画面側で階層を選べるようになっているかを、受け入れ時に確認してください。

費用はどう見積もりますか?

新規に作る部分は設計に含めれば追加費用が小さく、既存のページを直す部分はページ数に比例します。この2つを分けて見積もりを取ります。

新規作成分と既存改修分を分ける

リニューアルで作り直すページは、最初から要件を織り込めます。見出しの階層、フォームのラベル、配色の決め方は設計の段階で決まるため、後から直すより手間が小さく済みます。

一方、既存のまま残すページを直す場合は、ページごとに画像の代替テキストを書き、見出しを直す作業が発生します。ここはページ数と画像の点数に比例するため、対象を絞るかどうかで金額が変わります。

見積もりの依頼では、この2つを分けて出してもらってください。

区分 費用の性質
新規に作るページ 設計に含まれるため追加は小さい
既存ページの改修 ページ数と画像点数に比例する
更新手順書の作成 一度作れば以降は不要
受け入れ時の確認と報告 対象ページ数に応じる

分けて出してもらえば、予算に合わせて既存改修の範囲だけを調整できます。

補助金の対象になるかを確認する

中小企業庁は、令和7年度補正予算事業から「IT導入補助金」を「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更しました。デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、補助率が原則2分の1以内で、要件により3分の2以内、小規模事業者は最大5分の4とされ、補助額は業務プロセス4つ以上で最大450万円です。

出典: 中小企業庁、デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」

ただし、アクセシビリティ対応の費用が補助の対象になるかどうかは、この記事では判断できません。補助の対象になるかは公募要領で定められるため、申請の締切と対象経費を先に確認してください。

なお、既存ページの改修が中心になる事業者は多いと見込まれます。総務省の令和6年通信利用動向調査によると、自社のホームページを開設している企業の割合は93.2%で、産業分類別では建設業が95.4%、卸売・小売業が95.3%といずれも95%を超えています。既にサイトを持っている前提で、改修の範囲をどう絞るかが費用の論点になります。

出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」

アクセシビリティに対応すると何が変わりますか?

読みやすさと操作のしやすさが上がるため、対象となる利用者だけでなく閲覧者全体にとって使いやすくなります。特定の層のための対応が、結果として全体の使いやすさにつながります。

利用者の幅が広がる

代替テキストは、画面を読み上げて使う利用者のための設定です。同時に、通信が不安定で画像が表示されないときにも内容が伝わります。

色のコントラストを確保すると、屋外の明るい場所でも文字が読めます。キーボードだけで操作できるようにすると、マウスが使いにくい状況でも操作が完結します。いずれも、特定の利用者だけに効く対応ではありません。

御社のサイトが電話や来店の前に見られるものであれば、読めない、送信できないという状態はそのまま機会の損失になります。

作り方が整理される副次的な効果

見出しを階層で設定し、フォームのラベルを対応づける作業は、ページの構造を整理する作業でもあります。構造が整理されると、制作会社が代わったときの引き継ぎも楽になります。

つまずきやすい点は、対応を「一度やれば終わる作業」と考えることです。運用の中で追加されるページは、手順書が無ければ元の状態に戻っていきます。前述のとおり、更新手順書を納品物に含めてください。

要件の書き出しから一緒に進めます

どの項目をどこまで要件に入れるかは、御社のサイトの構成と、参照する基準の確認の両方を見ながら決める作業です。制作の実務を知らないまま項目を並べると、実装の難易度と費用の見通しが立ちません。

株式会社ノーティックラボは、Web制作を300,000円から承っており、代表がAIエンジニアとして自ら実装しています。要件の書き出しから受け入れの確認項目までを、実装の側から見て現実的な範囲で整理します。

まず現状のサイトを確認したい段階であれば、無料診断で改善の優先順位をお伝えします。リニューアルの進め方はDXガイドブックでもまとめています。

よくあるご質問

この記事に関して多い質問と回答をまとめます。

中小企業の自社サイトにもアクセシビリティ対応の義務はありますか?

義務の有無と範囲は、事業の内容と規模によって異なります。この記事では制度上の位置づけを判断できないため、デジタル庁や所管の官公庁が公開している資料で確認してください。

なお、義務の有無にかかわらず、問い合わせフォームが操作できない状態は機会の損失になります。義務の確認と並行して、前述の優先順位で着手する判断は取れます。

既存のサイトを全ページ対応させる必要がありますか?

必要ありません。ページ数に比例して費用がかかるため、対象を絞る判断が現実的です。

問い合わせフォームと閲覧数の上位ページを最初の対象にし、残りは次回の更新に合わせて順次対応する計画にしてください。対応の予定をページ単位で持っておくと、進み具合を社内で説明できます。

WordPressのテーマを変えるだけで対応できますか?

テーマの変更だけでは完結しません。テーマが見出しの階層やフォームのラベルを適切に出力するかは、テーマごとに違います。

また、御社が管理画面から入力した内容は、テーマの外側の話になります。見出しを階層で設定できるか、画像に代替テキストを入れる欄があるかを、テーマを選ぶ段階で確認してください。

対応したことを対外的に示す方法はありますか?

サイト内に対応の方針と対応した範囲を記載したページを置く方法があります。どの基準を参照し、どのページを対象に、どの項目に対応したかを書きます。

表示の仕方や名称には決まった形式があるため、記載する場合はデジタル庁などの公開資料で書き方を確認してください。実態と異なる記載は避けてください。

アクセシビリティ対応はSEOに効果がありますか?

見出しの階層や代替テキストの整備は、検索エンジンがページの内容を理解する助けにもなります。ただし、アクセシビリティ対応そのものが順位を上げるとは言えません。

順位に直接関わる公式の基準があるのは表示速度の側です。GoogleはCore Web Vitalsの良好の基準としてLCPを2.5秒以内、INPを200ミリ秒以内、CLSを0.1以下と定めています。アクセシビリティは順位対策ではなく、利用者が目的を達成できる状態にするための対応として位置づけてください。

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監修: 株式会社ノーティックラボ 代表(AIエンジニア)
本記事はAIを活用して制作しています

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