Web制作2026.09.21·8 min read·Nortiq Labs

ホームページ制作の納期は、なぜ延びるのか

納期が延びる原因は、発注者側のどこにあるのか

止まりやすいのは3か所です。原稿の確定、写真の手配、社内の確認。制作側の作業量より、この3か所の待ち時間のほうが長くなります。

制作の工程のうち、発注者が止める3か所

制作の流れを、誰の手番かで分けると次のようになります。

工程 手番 止まりやすさ
要件のヒアリング 双方 低い
設計・ワイヤーフレーム 制作側 低い
原稿の作成と確定 発注者 高い
写真と図版の手配 発注者 高い
デザイン制作 制作側 低い
社内の確認と修正指示 発注者 高い
実装・テスト 制作側 低い
公開 双方 低い

制作側の工程は、作業量から日数を見積もれます。一方で発注者側の3つは、他の業務の合間に進むため日数が読めません。ここが納期の振れ幅を生みます。

待ち時間が積み上がる仕組み

止まるのは1か所ではありません。原稿が遅れるとデザインが始まらず、デザインが遅れると確認も後ろにずれます。前の遅れが後ろの工程に積み上がる形です。

さらに、待ち時間には別の副作用があります。

  • 制作側の担当者が他の案件に入り、戻ってくるまでに間が空く
  • 時間が経つことで当初の方針が曖昧になり、議論が蒸し返される
  • 決裁者の関心が薄れ、確認がさらに遅くなる

つまずきやすい点は、「少し遅れるだけ」と考えてしまうことです。1週間の遅れが、次の工程の再調整で2週間になることは珍しくありません。

対策は単純です。3か所のうち、原稿と写真は着手の前に準備を始めてください。社内の確認は、着手前に確認者と回数を決めておきます。次章から、この3つを順に見ていきます。

着手前に、原稿はどこまで用意しておけばよいのか

用意するのは完成原稿ではありません。ページごとに何を伝えるかを書いた下書きです。文章の仕上げは制作側と進められますが、伝える内容は自社にしか決められません。

ページ単位で用意するものの一覧

1ページにつき、次の4つを箇条書きで書き出してください。

項目 書く内容 分量の目安
このページで伝えたいこと 読んだ人に何を知ってほしいか 1行
伝える材料 数字、実績、特徴、他社との違い 3行から5行
読んだ人にしてほしい行動 問い合わせ、資料請求、電話 1行
載せたくないこと 表に出せない情報や、書き方に注意が要る点 あれば

この4つが揃っていれば、制作側は文章を組み立てられます。逆に、この4つが空欄のまま「良い感じに書いてください」と頼むと、出てきた文章に違和感が残り、修正が何度も往復します。

会社案内やパンフレットがある場合は、それを渡すだけでも材料になります。ただし、紙の資料をそのままWebに載せると読みにくくなるため、どの部分を使うかは指定してください。

完成原稿まで求められない理由

制作側が完成原稿を求めない理由は2つあります。

  • Webの文章は、見出しと段落の長さがデザインに左右されるため、先に文章だけを固めると収まらない
  • 検索されている語や、読み手が探している表現を踏まえて整える工程が別にある

つまり、文章の形に仕上げる作業は制作側の担当です。発注者が用意するのは、その材料になります。所要時間の目安は、1ページあたり20分から30分です。

つまずきやすい点: 全ページ分を一度に書こうとして止まる

最も多いのは、全ページ分を書き上げてから渡そうとして、途中で止まるパターンです。10ページなら10ページ分が揃うまで、制作側は待つことになります。

次の順序で、できたものから渡してください。

  1. トップページと、問い合わせにつながる主要な1ページ (所要時間の目安: 60分)。この2枚があれば、デザインの方向性を決められます。
  2. サービスや商品の紹介ページ (所要時間の目安: 1ページあたり30分)。書ける人が複数いるなら分担します。
  3. 会社概要や採用など、定型的なページ (所要時間の目安: 1ページあたり15分)。既存の資料から転記できる部分が多く、後回しでも間に合います。

分割して渡すことを、着手前に制作側と合意しておいてください。全部揃ってから、という前提のままだと、分割して渡しても作業が始まらないことがあります。

写真と図版は、いつまでに何枚必要なのか

撮影が必要な写真は、着手前に枚数と被写体を決めてください。撮影は日程の調整が要るため、最も後ろ倒しになりやすい項目です。原稿と違って、その場で書き足すことができません。

自社で用意するものと、制作側に任せるものの分け方

写真は、出どころで3つに分かれます。

種類 用意する側 注意点
自社の施設、商品、スタッフ 自社または撮影の依頼 現場の都合で日程が決まる
有料のストック写真 制作側が選定することが多い 契約の名義をどちらにするか決める
図やグラフ 元データは自社、作図は制作側 数字の正確さは自社が確認する

上の行ほど、日程に影響します。スタッフの写真は、本人の了承と当日の出勤が前提になるためです。

撮影を伴う場合の逆算のしかた

撮影日を後から決めると、公開日が動きます。次の順序で逆算してください。

  1. 必要な写真の一覧を作る (所要時間の目安: 60分)。「工場の外観」「作業風景」「代表の顔写真」というように、被写体と用途をページごとに書き出します。
  2. 撮影が必要なものと、既存で足りるものに分ける (所要時間の目安: 30分)。既存の写真は、次の項で述べる解像度の確認を行います。
  3. 撮影日を仮で押さえる (所要時間の目安: 30分)。デザインの確定を待つ必要はありません。被写体が決まっていれば撮れます。
  4. 撮影から納品までの日数を確認する (所要時間の目安: 15分)。撮影当日に写真が届くわけではありません。選定と補正の期間を見込みます。

つまずきやすい点は、デザインが固まってから撮影しようと考えることです。デザインに合わせた構図が必要な場合を除けば、先に撮っておくほうが全体は早く進みます。

つまずきやすい点: 解像度が足りない写真しかない

既存の写真を使う場合、Webに載せられる大きさがあるかを確認してください。次のような写真は、大きく使うと粗くなります。

  • 過去にWebサイトへ掲載するために縮小したもの
  • チャットやメールで送信する際に圧縮されたもの
  • 印刷物から取り込んだもの

元データが見つからない場合は、撮り直すか、小さく使う前提でデザインしてもらうかの選択になります。どちらにしても、着手前に判明しているほど選択肢が残ります。写真の一覧を作った時点で、元データの所在もあわせて確認してください。

社内の確認は、どう設計すれば止まらないのか

確認の回数と、確認する人を着手前に決めてください。誰が最終判断するかが決まっていないことが、確認が長引く最大の理由です。意見が集まること自体は問題になりません。

確認者と回数を先に決める

決めるのは次の3つです。

決めること 具体的に 決めておかないと
確認者 意見を出す人の氏名 後から人が増え、方針が振り出しに戻る
決裁者 最終的に「これで進める」と言う人 意見が並んだまま結論が出ない
回数と期限 何回確認し、各回で何日以内に返すか 返答がないまま日数だけ過ぎる

制作の一般的な流れでは、確認の機会は3回程度です。ワイヤーフレーム (画面の骨組み)、デザイン案、公開前の最終確認です。各回で何を見るかを決めておくと、後の回で前の話に戻らずに済みます。

決裁者は1人に決めてください。複数いる場合は、意見が割れたときに誰の判断を採るかを先に決めておきます。

確認の依頼文に入れる3つの項目

社内に確認を回すときは、次の3点を書いてください。

  1. 何を見てほしいか (所要時間の目安: 文面の作成に15分)。「全体の印象」ではなく、「この画面で問い合わせボタンが見つけやすいか」のように具体的に書きます。
  2. 今回は決めない項目 (つまずきやすい点: 文章の細かい表現に意見が集中し、構成の議論が進まない)。文章の最終調整は後の回で行う、と明記します。
  3. 返答の期限と、返答がない場合の扱い (所要時間の目安: 5分)。期限までに返答がなければ異議なしとみなす、と先に伝えておきます。

3点目は強く感じられるかもしれませんが、これを書かないと確認の締め切りが機能しません。着手前の打ち合わせで、社内のルールとして合意しておいてください。

つまずきやすい点: 後から決裁者が増える

公開の直前に、それまで関わっていなかった役員や部門長が意見を出す、という事態は珍しくありません。ここで方針が変わると、デザインからやり直しになります。

防ぐ方法は、着手前の段階で一度見てもらうことです。ワイヤーフレームの回に、決裁の可能性がある人全員を入れてください。その時点なら、方針が変わっても手戻りは小さく済みます。

確認の設計は、原稿や写真と違って費用がかかりません。それでいて、納期への影響は最も大きい項目です。次章では、ここまでの分担を提案依頼の段階でどう書いておくかを扱います。

提案依頼の段階で、何を確定させておくべきか

提案依頼書 (RFP) の段階で、原稿と素材の分担を明記しておくと、着手後のやり直しが減ります。分担が書かれていない提案は、各社が別々の前提で見積もるため、金額も納期も比べられません。

RFPの標準的な記載項目

IPAの学習教材「調達計画・実施」によれば、RFP (提案依頼書) は、発注者がベンダに対してシステムやサービスの提案を求めるために交付する公式文書です。RFI (情報提供依頼書) による市場調査を経たあと、実際の調達フェーズで作成されるものと位置づけられています。

実務の解説資料に共通して挙げられている記載項目は、次のとおりです。

番号 項目
1 プロジェクトの背景・目的
2 現状の課題
3 目標・KPI
4 システム要件・機能要件 (MustとWantに分ける)
5 非機能要件
6 納期・スケジュール
7 予算規模
8 選定基準・評価方法
9 提案書の提出条件
10 問い合わせ窓口

RFPの書き方そのものは別の記事で詳しく扱っています。ここでは、納期に関わる6番の項目に、原稿と素材の分担を書き添える点に絞ります。

分担を書く欄に入れる内容

6番の納期・スケジュールの欄に、次の3点を追記してください。

  1. 原稿を誰が書くか (所要時間の目安: 15分)。自社が下書きを出すのか、取材のうえ制作側が書くのかを明記します。
  2. 写真を誰が用意するか (所要時間の目安: 15分)。撮影の有無と、撮影する場合の想定枚数を書きます。
  3. 確認の回数と、各回の返答期限 (所要時間の目安: 15分)。前章で決めた内容をそのまま転記します。

この3点があるだけで、提案書の納期は現実的な数字になります。逆に書かれていないと、各社は自社に都合のよい前提を置いて短い納期を提示し、着手後に延びます。

決めずに進めた場合に起きること

分担が曖昧なまま着手すると、双方が相手の作業だと思ったまま日数が過ぎます。この状態は、社内に書ける人がいない場合にとくに起きやすくなります。

中小企業庁「2021年版中小企業白書」第3節では、中小企業のデジタル化推進に向けた課題として、人材不足・コスト・社内理解の不足が主要な障壁に挙げられています。原稿を書く人が決まらないという問題は、この人材不足が具体的な形で表れたものです。

つまずきやすい点は、制作会社が原稿も書いてくれるだろうと期待したまま契約することです。取材から執筆まで任せる場合は費用が加わります。その金額の目安は次章で扱います。

準備が間に合わない場合、費用はどう変わるのか

原稿の執筆や撮影を制作会社に依頼すると、その分が見積もりに加わります。金額の目安を知ったうえで、自社でやるか任せるかを決めてください。納期を優先するなら、任せる判断も合理的です。

制作会社に任せた場合に加わる費目

見積書に追加される費目は、主に次の4つです。

費目 内容
取材・ヒアリング 原稿の材料を集めるための訪問や打ち合わせ
原稿執筆 ページ単位の文章作成
撮影 カメラマンの手配、撮影当日、写真の選定と補正
素材購入 有料のストック写真やイラストの利用料

前提として、全体の相場を把握しておくと判断しやすくなります。Web幹事の公開情報によれば、小規模なコーポレートサイト (5から10ページ程度) を制作会社へ依頼した場合の初期制作費は30万円からが目安とされています。あきばれホームページの公開情報によれば、月額の管理・保守費用は小規模サイトで5,000円からが相場です。

参考までに、当社のホームページ制作はLIGHTが30万円〜、STANDARDが60万円〜(いずれも税別)です。PREMIUMプランではCore Web VitalsのGood評価を保証しています。

補助金の対象になるかどうか

補助金で費用を抑えられるかは、制度と時期によって変わります。中小企業庁の資料によれば、IT導入補助金2025の通常枠は補助率が1/2以内で、補助上限額はA類型が150万円未満、B類型が450万円以下とされていました。

ただし、中小企業庁は2026年度より「デジタル化・AI導入補助金2026」へ制度を移行しています。補助の対象はITツールの導入だけでなく、デジタル化とAI活用の支援へ範囲が広がっています。見積もりを取る時点で、最新の制度と対象範囲を確認してください。

つまずきやすい点は、ホームページ制作そのものが対象になると決めつけることです。対象に該当するかは登録されているITツールの内容によって異なるため、申請の前にIT導入支援事業者へ確認する必要があります。

自社でやる場合にかかる時間の見積もり

費用をかけずに自社で進める場合、必要なのは時間です。前章までに挙げた所要時間を合計すると、10ページ程度のサイトで次のようになります。

  • 原稿の下書き: 1ページあたり20分から30分で、合計3時間から5時間程度
  • 写真の一覧作成と元データの確認: 1時間半程度
  • 確認の設計と依頼文の作成: 40分程度

合計すると6時間前後です。1日で終わる量ではありませんが、2週間かけて少しずつ進められる範囲でもあります。この時間を確保できるかどうかが、分担を決める基準になります。

よくあるご質問

この記事に関して多い質問と回答をまとめます。

原稿は、どのくらいの分量を用意すればよいのでしょうか。

完成した文章としての分量は求められません。用意するのは、1ページにつき伝えたいこと、材料、してほしい行動、載せたくないことの4項目です。箇条書きで5行から7行程度に収まります。

分量よりも、材料の具体性のほうが効きます。「品質が高い」ではなく、「検査を全数で行っている」「不良率が年間で何件」のように、事実を書いてください。文章に整える作業は制作側が行います。

写真は、スマートフォンで撮ったものでも使えますか。

使える場合が多くあります。近年の端末は十分な解像度があるためです。ただし、撮影した元データを渡してください。

チャットやメールで共有した写真は、送信時に圧縮されていることがあります。この状態のファイルを大きく使うと粗く見えます。端末に残っている元のファイルから取り出して渡すようにしてください。

着手後に原稿を差し替えると、納期はどのくらい延びますか。

差し替える範囲によります。文章の言い回しを直すだけなら、デザインには影響しません。一方で、ページの構成や、載せる項目そのものが変わる場合は、デザインからやり直しになります。

影響を小さくするには、構成に関わる変更をワイヤーフレームの確認の回までに済ませてください。その後の回では、文章の調整に限る、と先に決めておく方法が有効です。

原稿の執筆をすべて制作会社に任せることはできますか。

できます。取材を受けて制作側が書く形です。ただし、取材の時間は確保する必要があります。素材となる情報を出すのは自社だからです。

任せる場合も、取材の日程と、原稿を確認して返す期限は決めておいてください。書く作業を任せても、確認は自社に残ります。費用については前章で触れたとおり、取材と執筆の費目が見積もりに加わります。

社内の確認が集まらない場合、どう進めればよいですか。

決裁者を1人に絞り、期限までに返答がなければ異議なしとみなす、というルールを先に合意してください。これを着手前に決めておくことが、最も効果があります。

それでも集まらない場合は、確認の場を会議として設定する方法があります。各自が個別に見て返す形式をやめ、30分の打ち合わせでその場で決める形です。日程を押さえるほうが、返答を待つより早く終わります。

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監修: 株式会社ノーティックラボ 代表(AIエンジニア)
本記事はAIを活用して制作しています

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