トラック予約受付システムの外注は、何から決めますか?
最初に決めるのは、予約の単位と、受け付ける時間の枠です。この2つが決まらないと画面が作れません。
トラック予約受付システムとは、荷積みや荷卸しに来る車両の到着時間を事前に受け付け、拠点側で時間を割り振る仕組みです。バース予約システムと呼ばれることもあります。
予約の単位をどう置くか
予約の単位は、拠点の運用によって3通りに分かれます。
- バース単位 (どの接車場所を使うかまで指定する)
- 時間枠単位 (30分などの枠に、受け入れ可能な台数を設定する)
- 荷主や便単位 (定期便の枠を確保し、残りを自由枠にする)
どれが正しいというものではありません。決め方の基準は、当日の現場で誰が割り振りを判断しているかです。現場の担当者が到着順に判断しているなら、まず2番目の時間枠単位から始めるほうが定着します。
つまずきやすいのは、1番目のバース単位を初回から選ぶ場合です。バースごとに扱える荷姿や機材が違うと、予約の条件分岐が一気に増えます。条件が増えるほど開発の費用も上がり、現場も使い方を覚えきれません。
所要時間の目安は、拠点の責任者と現場の担当者2名で、1拠点あたり2時間ほどです。拠点ごとに運用が違う場合は、拠点の数だけ必要になります。
外注の範囲に含めないものを決める
含めないものを先に決めると、要件は早く固まります。
配車の計画と、運行中の記録は、予約受付システムの外に置くのが基本です。これらは運送会社側の業務であり、別の仕組みが担っています。接続の考え方は後述します。
初回の開発では、次の機能も外して検討してください。
- 実績から自動で枠を最適化する機能
- 構内の作業指示や進捗の管理
- 請求や待機料の計算
まず、予約を受け付けて、到着と作業の時刻を記録するところまでに絞ります。記録が溜まってから、次に何を作るかを判断するほうが、無駄な機能を減らせます。
荷待ちは、システムで何が変わりますか?
到着の時間が分散し、待ち時間が記録として残るようになります。荷役そのものにかかる時間は変わりません。
予約受付システムは、構内の作業を速くする道具ではありません。到着が重なる状態を減らし、どこで時間が使われているかを見えるようにする道具です。
変わることと変わらないこと
整理すると次のようになります。
| 項目 | 予約受付システムで変わるか |
|---|---|
| 到着時刻の集中 | 変わる。枠の上限で分散できる |
| 待ち時間の把握 | 変わる。予約時刻と実際の入場時刻の差が残る |
| 荷役の作業時間 | 変わらない。人員と機材の問題 |
| 積載効率 | 変わらない。配車と受注の側の問題 |
| 突発の飛び込み車両 | 部分的に変わる。運用の取り決めが要る |
国土交通省の調査では、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間は10時間13分で、このうち荷待ち・荷役等時間は2時間2分でした。前回調査の3時間18分から1時間16分短縮しています。荷待ち時間だけで見ると、1時間28分から1時間00分へ縮小しました。
出典: 国土交通省『トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果の公表』 (https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu02_hh_000084.html、2026年9月時点)
この数値は、荷待ちと荷役が別々に示されている点が重要です。自社の改善目標を立てるときも、2つを分けて記録してください。まとめて記録すると、どちらが減ったのか説明できません。
現状の待ち時間をどう測るか
測り方の手順は次のとおりです。
- 荷待ちの始点と終点を定義する。門に到着した時刻からか、構内に入った時刻からかを決めます。つまずきやすいのは、拠点ごとに定義が違うまま集計する点です。
- 2週間程度、紙でよいので記録を取る。到着、入場、作業開始、作業終了、出場の5つの時刻を控えます。所要時間の目安は、1拠点あたり守衛や受付の担当者が1日10分ほどです。
- 時間帯別に集計し、どの時間に集中しているかを見る。
- 集計した結果を、予約の枠の設計にそのまま使う。
国土交通省の「トラック輸送状況の実態調査」には、調査の目的と留意点が示されています。公表値と自社の数値を比べる場合は、どこからどこまでを荷待ちとするかの定義を合わせてください。定義が違えば、システムが記録した時間と公表値は比較できません。
出典: 国土交通省『トラック輸送状況の実態調査結果』 (https://www.mlit.go.jp/common/001128767.pdf、2026年9月時点)
制度の側からは、何が求められていますか?
物流効率化法により、荷待ち時間の短縮が荷主と物流事業者の取組の重点に位置づけられています。2025年4月に施行されました。
正式名称は、物資の流通の効率化に関する法律です。規制的措置の重点は、積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の3点です。
出典: 経済産業省『物流効率化法 解説パンフレット』 (https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/ninushi-pamphlet.pdf)、国土交通省 物流・自動車局『物流改正法の施行について』 (https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000345218.pdf) (いずれも2026年9月時点)
要件を立てるときは、その機能が3点のどれに効くのかを明示してください。社内の説明でも、外注先への説明でも、話が短く済みます。
努力義務と特定事業者の義務
対象と時期は次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 開始時期 |
|---|---|---|
| すべての荷主 | 努力義務および判断基準 | 2025年4月 |
| 一定規模以上の特定事業者 | 取組状況の報告等の義務 | 2026年4月 |
前年度の取扱貨物重量が基準重量である9万トンを超える事業者は、荷主事業所管大臣へ届出を行い、特定荷主の指定を受けることになります。
出典: 経済産業省『物流効率化法 解説パンフレット』 (2026年9月時点)
つまずきやすいのは、自社が指定の対象かどうかを確認しないまま要件を決めることです。対象になる場合、記録の粒度と集計の単位が変わります。要件を固める前に、取扱貨物重量の実績を確認してください。所要時間の目安は、出荷実績から集計するのに半日ほどです。
報告に使える記録の残し方
指定を受ける事業者には取組状況の報告が求められます。そのため、予約の受付記録と実際の入退場時刻を、報告に使える粒度で残せるかどうかがシステムの要件になります。
最低限、次の項目を残す設計にしてください。
- 予約した時刻と、予約した事業者
- 実際に到着した時刻と、入場した時刻
- 作業の開始時刻と終了時刻
- 出場した時刻
- 予約なしで来た車両の扱い (飛び込みの記録)
実装の面でつまずきやすいのは、5番目です。予約のデータだけを持つ設計にすると、飛び込み車両の待ち時間が記録から抜け落ちます。集計したときに実態より短い数字が出るため、受付の画面から予約なしでも記録できるようにしておいてください。
集計の単位は、拠点別と時間帯別の2つを最初から持たせます。後から追加するより、設計の段階で入れるほうが安く済みます。
運送会社側の運用と、どう合わせますか?
予約の変更と遅延の扱いを先に決めます。ここを決めずに導入すると、電話での調整が元どおり残ります。
運送会社側には、法令で残すことが決まっている記録があります。予約の受付側がその記録と噛み合う形を取れば、現場の入力は一度で済みます。
遅延したときの枠の扱い
先に決めるのは次の4点です。
- 何分の遅れまで、元の枠で受け入れるか
- 枠を過ぎた場合、次の空き枠へ自動で移すか、受付で判断するか
- 予約の変更を、当日の何分前まで受け付けるか
- 予約なしで来た車両を、どの順番で入れるか
つまずきやすいのは2番目です。自動で移す設計にすると、後続の予約が連鎖してずれます。初回は受付の担当者が判断する形にして、判断の記録を残すところから始めるほうが安全です。
所要時間の目安は、拠点の責任者と主要な運送会社1社を交えて2時間ほどです。運送会社を入れずに決めると、現場で運用されません。
運行の記録との関係
運送会社側では、荷待時間や荷役作業・附帯業務を業務記録に残す義務があります。この義務の対象は2025年4月1日から全車両へ拡大しました。改正前は、最大積載量5トン以上などの車両に限られていました。
出典: 国土交通省『令和7年4月1日から、全車両が記載対象になります』 (https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001865382.pdf、2026年9月時点)
記録の対象になるのは、荷主都合による30分以上の待機です。記録した内容について荷主の確認を受けたかどうかも、あわせて記載されます。
出典: 国土交通省『乗務記録の記載対象となる荷待時間・荷役作業等について』 (https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr4_000026.html、2026年9月時点)
つまり、拠点側の入退場の記録は、運送会社側の記録と突き合わせられる前提で作る必要があります。予約受付システムから、事業者ごとの待機時間を出力できるようにしておいてください。
労働時間の上限も背景にあります。改善基準告示では、1年の拘束時間は原則3,300時間以内、1日の拘束時間は延長する場合でも最大15時間までとされています。
出典: 国土交通省 近畿運輸局『トラック運転者の改善基準告示 ー2024年4月適用ー 解説』 (https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000306033.pdf、2026年9月時点)
なお、運行記録計の記録と点呼記録簿は、いずれも1年間の保存が求められます。これらは運送会社側の仕組みが担う領域です。予約受付システムで作り直す必要はありません。
出典: 全日本トラック協会『運行記録計 (タコグラフ) の装着義務付け対象拡大について』、国土交通省『貨物軽自動車運送事業者の皆様へ』 (いずれも2026年9月時点)
相手の規模も前提になります。全日本トラック協会の資料では、中小企業基本法の基準に照らすとトラック運送事業者の99%以上が中小企業にあたり、従業員10名以下の事業者が49%を占めます。
出典: 全日本トラック協会『日本のトラック輸送産業 現状と課題 2024』 (https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/yusosangyo2024.pdf、2026年9月時点)
専任の情報システム担当者がいない相手が多いということです。登録の手順が複雑だと使われません。画面の作り込みより、電話なしで予約が取れる導線の短さを優先してください。