中小企業と大企業の生成AI活用率にはどれくらいの差がありますか
生成AIの活用方針を定めている企業の割合は、大企業が約56%、中小企業は約34%にとどまり、規模間で約22ポイントの差があります。出典: 総務省「令和7年版情報通信白書」(企業におけるAI利用の現状)。
実際の活用度合いで見ると、差はさらに大きくなります。従業員300人未満の企業で生成AIを「全社的に活用している」と回答した割合は、わずか1.3%でした。出典: 日経クロステック「生成AI活用の『格差』深刻に、大企業と中小企業で15倍の違い」。一方、従業員5000人以上の企業では19.0%に達しており、その差は約15倍に上ります。
| 指標 | 中小企業(目安) | 大企業(目安) |
|---|---|---|
| 生成AI活用方針の策定率 | 約34% | 約56% |
| 生成AIを全社的に活用している割合 | 1.3%(従業員300人未満) | 19.0%(従業員5000人以上) |
御社の生成AI活用が周囲より遅れていると感じていたとしても、この数字を見る限り、中小企業全体がまだ同じ課題を抱えている段階だといえます。差がどこから生まれ、どう縮められるかは後述します。
生成AI活用率の統計はどのような調査に基づいていますか
総務省「令和7年版情報通信白書」や日経BP総合研究所、東京商工リサーチなど複数の公的統計・業界調査が同様の格差を示しています。それぞれの調査の内容を確認します。
総務省の情報通信白書が示す活用方針策定率の差
総務省「令和7年版情報通信白書」によると、業務で生成AIを利用していると回答した国内企業の割合は55.2%でした。出典: 総務省「令和7年版情報通信白書」(企業におけるAI利用の現状)。
同白書では、生成AIの活用方針を定めている企業の割合も49.7%と示されています。前年の42.7%から増加しており、活用方針の明文化自体は進んでいます。前述のとおり、この策定率を企業規模別に見ると大企業約56%、中小企業約34%という差が生じています。
日経BP総合研究所が示す全社活用率の差
日経BP総合研究所イノベーションICTラボの調査では、前述の1.3%と19.0%という数字が示されています。この調査は「全社的に活用している」という、より高い活用度合いを基準にしている点が特徴です。
東京商工リサーチの調査でも同様の傾向が見られます。大企業の約6割が組織として生成AIの活用を推進していると回答しており、将来の人員配置や人員抑制の見直しを検討していると答えた企業も53.4%に上りました。出典: 東京商工リサーチ「『生成AI』大企業の約6割が組織で活用推進」。基準の取り方は調査によって異なりますが、いずれも企業規模による活用の差を裏づけています。
企業規模による活用格差はなぜ生まれるのですか
予算やIT人材の確保のしやすさに加え、経営層が活用方針を明文化しているかどうかの差が、規模間の格差の背景にあると考えられます。
大企業は生成AI導入の専任担当者やIT予算を確保しやすく、全社的な方針を決めたうえで組織的に展開しやすい立場にあります。一方、中小企業では日々の業務と兼務でIT活用を担当するケースが多く、方針の検討そのものに時間を割きにくい事情があります。
もう一つの要因は、活用方針を文書化しているかどうかです。前述のとおり方針を定めている企業ほど活用が組織的に進む傾向が統計にも表れています。方針が定まっていないと、現場の一部の担当者が個人的に生成AIを使うにとどまり、全社的な活用には広がりにくくなります。
この2つの要因は、裏を返せば中小企業でも取り組みやすい改善点でもあります。次の項目で、日本全体の遅れと合わせて、中小企業が今からできることを確認します。
日本は海外と比べても生成AI活用が遅れていますか
個人の生成AI利用経験率は日本が26.7%にとどまり、米国68.8%、ドイツ59.2%、中国81.2%と比べて主要国の中で最も低い水準です。出典: 総務省「令和7年版情報通信白書」(個人におけるAI利用の現状)。
| 国・地域 | 個人の生成AI利用経験率 |
|---|---|
| 日本 | 26.7% |
| 米国 | 68.8% |
| ドイツ | 59.2% |
| 中国 | 81.2% |
日本の26.7%という数字は、2024年度時点で前年の9.1%から約3倍に増加した結果です。伸び率自体は大きいものの、他国との差はまだ大きいというのが実態です。
企業の活用方針策定率で見た大企業と中小企業の差(約22ポイント)と、個人利用の国際的な差を重ねると、日本の生成AI活用の遅れは企業規模の問題だけではないことが分かります。国全体で活用が緩やかに進んでいる段階のなかで、企業規模による差がさらに重なっている状態だといえます。