介護の記録システムに使える補助制度はどれ?
介護記録システムの導入には、都道府県が実施する介護テクノロジー導入支援事業が使えます。旧ICT導入支援事業が現在の名称です。
名称が変わっているため、検索で出てくる情報が古い呼び方のままになっていることがあります。都道府県によっては「介護テクノロジー定着支援事業」として公募されます。以下は2026年10月1日時点の情報です。最新は各自治体の公募ページで確認してください。
制度の目的と現在の名称
厚生労働省は、介護記録・情報共有・報酬請求等の業務の効率化と介護サービスの質の向上を目的に、介護ソフトや情報端末の導入を補助する事業を実施しています。出典: 厚生労働省 介護事業所向けICT導入支援事業 資料。
この枠組みは現在、「介護テクノロジー導入支援事業」として実施されています。実施主体は都道府県で、財源は地域医療介護総合確保基金です。出典: 兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業の実施」、鹿児島県「令和8年度介護テクノロジー導入支援事業」、静岡県「令和8年度介護テクノロジー定着支援事業費補助金」。
ここが実務上いちばん大事な点です。国が一律に決めているのではなく、補助率・補助上限・締切はいずれも都道府県ごとに決まります。国の実施要綱と県の交付要綱がそれぞれ公開される形になっています。
したがって、記事やベンダの資料で見た数字がそのまま御社に適用されるとは限りません。確認先は、御社の所在する都道府県の公募ページです。
もう一つの選択肢 (デジタル化・AI導入補助金)
介護事業者が使える制度として、中小企業庁のデジタル化・AI導入補助金 (旧IT導入補助金) もあります。こちらは事務局に登録されたITツールを対象とする仕組みです。
通常枠の補助率は1/2以内で、補助額は1プロセス以上の申請で5万円以上150万円未満です。出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト 通常枠。
2つの制度は、対象の決め方が違います。介護テクノロジー導入支援事業は介護の業務に即した経費を都道府県の要綱で定め、デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録されたITツールかどうかで決まります。どちらを使うかは、導入するものと事業所の状況によって変わります。対象経費の中身は次のセクションで整理します。
対象経費はどこまで?記録システムは含まれる?
介護ソフトや情報端末の導入費用が対象です。記録から請求までの業務効率化を目的とする経費が支援対象になります。
記録システムそのものは対象に含まれます。ただし、何がどこまで含まれるかは都道府県の要綱で決まるため、以下は国の資料で確認できる範囲です。2026年10月1日時点の情報です。最新は各自治体の公募ページで確認してください。
対象になる経費の範囲
厚生労働省は、介護記録・情報共有・報酬請求等の業務の効率化と介護サービスの質の向上を目的に、介護ソフトや情報端末の導入を補助する事業を実施しています。出典: 厚生労働省 介護事業所向けICT導入支援事業 資料。
ここから読み取れる対象経費の考え方を整理します。
| 区分 | 典型的な内容 |
|---|---|
| ソフトウェア | 介護記録ソフト、バックオフィスソフト |
| 情報端末 | タブレット、スマートフォン等の記録に使う端末 |
| 通信・環境 | 導入に伴う通信環境の整備 |
| 導入支援 | 設定、研修等の導入に必要な役務 |
出典: 同資料および各都道府県の公募ページ。区分の名称と範囲は都道府県の要綱で異なります。
判断の軸になるのは「記録・情報共有・報酬請求の効率化につながるか」です。記録を入力する端末まで含まれる点が、ソフトウェア中心の制度との違いになります。
対象外になりやすい経費
公募の実務で外れやすいものを挙げます。いずれも都道府県の要綱で確認が必要な項目です。
- 交付決定の前に契約または支払いを済ませた経費
- 補助の目的と結びつかない汎用の備品
- 事業の実施期間を超えて発生する利用料
- 既存の設備の単純な更新で、業務の効率化につながらないもの
交付決定の前に契約してはいけないという点は、国の補助制度に共通する考え方です。デジタル化・AI導入補助金でも、交付決定の通知を受けた後に発注・契約・支払いを行う流れが前提とされています。出典: デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト 通常枠。
御社の見積もりがどの区分に当たるかは、介護ソフトのベンダに区分ごとの内訳を出してもらうのが早道です。区分が分かれていない見積もりは、申請の段階で組み替えが必要になります。補助率と上限額については次のセクションで整理します。
補助率と補助上限はいくら?要件で何が変わる?
補助率は、要件を満たす場合に4分の3を下限、満たさない場合に2分の1を下限として、各都道府県が設定します。
つまり、同じ機器を入れても、取り組みの内容と所在地によって戻る額が変わります。以下は2026年10月1日時点の情報です。最新は各自治体の公募ページで確認してください。
補助率を上げる要件
補助率4分の3の適用を受けるには、生産性向上に資する取り組みの計画と実施が条件とされています。ICTではケアプランデータ連携やLIFE連携が、介護ロボットでは見守りセンサとインカムと記録ソフトを組み合わせた活用が挙げられています。出典: 補助金ポータル「介護テクノロジー導入支援事業の活用ガイド」(令和8年度)。
読み替えると、単体の導入より、記録とデータ連携まで含めた形のほうが要件に近づきます。記録ソフトを入れるだけで止めるか、連携まで設計するかで補助率が変わる可能性があります。
LIFE連携を要件に含める場合は、記録システム側の仕様確認が前提になります。この点は後述します。
補助上限額の目安
公表されている上限額の目安を整理します。
| 区分 | 補助上限額 |
|---|---|
| 介護ソフト・バックオフィスソフト | 職員数に応じて1事業所あたり最大250万円 |
| パッケージ型の導入 | 400万円から1,000万円 |
| 協働化・大規模化の推進 | 1グループあたり最大1,200万円 |
出典: 補助金ポータル「介護テクノロジー導入支援事業の活用ガイド」(令和8年度)。
これらは国の実施要綱を整理した数値です。実際に適用される率と上限は、都道府県の公募要領で確認する必要があります。記事やベンダ資料の数字をそのまま稟議に使うと、金額が合わなくなることがあります。
介護ソフトの上限が職員数に応じて決まる点にも注意してください。小規模な事業所では上限まで使えない場合があり、見積もりの総額より補助の上限が先に来ることがあります。御社の職員数で上限がいくらになるかは、公募要領の区分表で確認してください。
申請の流れと締切はどう確認する?
実施主体は都道府県です。締切と様式は、御社が所在する自治体の公募ページで確認します。国の実施要綱と県の交付要綱は別に公開されます。
全国共通の申請窓口はありません。以下は2026年10月1日時点の情報です。最新は各自治体の公募ページで確認してください。
申請の手順
公募ページで公開されている流れを整理すると、次の順番になります。
- 都道府県の公募ページで、当年度の公募の有無と締切を確認する
- 国の実施要綱と県の交付要綱の両方を読み、対象経費と補助率を確認する
- 自治体が行う申請見込額の調査に回答する (兵庫県や静岡県ではこの手順が先に入ります)
- 介護ソフトのベンダから、区分ごとの内訳が分かれた見積もりを受け取る
- 交付申請を提出し、選定と交付決定を待つ
- 交付決定の通知を受けてから契約し、導入する
- 実績報告を提出し、補助金の交付を受ける
出典: 兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業の実施」、静岡県「令和8年度介護テクノロジー定着支援事業費補助金」。
申請見込額の調査が先に入る自治体では、ここに回答していないと本申請に進めない場合があります。公募ページを最初に見るときは、本申請の締切だけでなく、その前段の調査の期限も確認してください。
締切が都道府県ごとに違う
締切は自治体ごとに設定されます。たとえば鹿児島県の令和8年度の募集期限は、令和8年10月14日午後5時までと公表されています。出典: 鹿児島県「令和8年度介護テクノロジー導入支援事業」。
兵庫県と静岡県は、要綱と補助要件をPDFで別途公開し、申請見込額の調査を先に行う流れを示しています。出典: 兵庫県、静岡県の各公募ページ。
同じ年度でも、締切が10月の自治体と、それより早い自治体があります。年度の前半に締め切る自治体もあるため、「まだ先だろう」と考えて動くと間に合いません。年度が替わったら、まず御社の都道府県の公募ページを確認するのが確実です。
公募が終わっている場合は、次年度の公募を待つか、デジタル化・AI導入補助金のような別制度を検討する形になります。