AI活用2026.10.08·8 min read·Nortiq Labs

生成AI導入の懸念と方針策定率の統計

懸念の中身より先に目に入るのは、方針を定めている会社の少なさです

総務省の情報通信白書では、生成AIの活用方針を定めている企業の割合に企業規模による差が示されています。懸念を挙げる会社は多い一方、方針という形にしている会社は限られます。

最初に見る数字

生成AIを活用する方針を定めている企業の比率は、日本の大企業で約56パーセント、日本の中小企業で約34パーセントです。全体では2024年度調査で約50パーセント、2023年度調査では約43パーセントでした (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書 (概要)』(令和7年))。

区分 方針を定めている企業の比率
日本全体 (2024年度調査) 約50%
日本全体 (2023年度調査) 約43%
日本の大企業 約56%
日本の中小企業 約34%

大企業と中小企業の差は20ポイント以上あります。全体の比率が1年で上がっている一方、中小企業は3社に1社という水準にとどまっています。

懸念と方針は別の話

同じ白書では、生成AI導入に際しての懸念事項として、日本で最も多かったのは「効果的な活用方法がわからない」で30.1パーセント、次に「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が27.6パーセントでした (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』第1部第1章第2節 図表Ⅰ-1-2-15 (令和7年))。

ここで読み取れるのは、懸念の中身が「危ない」よりも「どう使えばよいか分からない」に寄っているという点です。使い方が分からない状態では方針も書けないため、懸念と方針の少なさは同じ原因から来ている可能性があります。

この記事で扱う統計の範囲

この記事で扱う数字は、総務省の令和7年版情報通信白書の図表Ⅰ-1-2-15、図表Ⅰ-1-2-16、および概要資料によるものです。懸念事項の内訳と、方針の策定状況を順に見ていきます。

なお、生成AIの活用による自社への影響として日本で最も多く挙げられたのは「業務効率化や人員不足の解消につながる」で32.8パーセントでした (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』第1部第1章第2節 図表Ⅰ-1-2-16 (令和7年))。期待の内容と懸念の内容を並べて見ると、社内で何を決めればよいのかが見えやすくなります。

統計の出どころと読み方

この記事で扱う数字は、総務省の令和7年版情報通信白書の図表と概要資料によるものです。調査の対象と年次を押さえておくと、社内の説明で数字の意味を取り違えずに済みます。

出典と年次

参照しているのは次の3つです。

参照先 扱っている内容
図表Ⅰ-1-2-15 生成AI導入に際しての懸念事項の内訳
図表Ⅰ-1-2-16 生成AIの活用による自社への影響
概要資料 生成AIを活用する方針を定めている企業の比率

出典の書き方は、出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』(令和7年) の形で統一します。数値を社内の資料に転記するときも、この表記をそのまま添えると、後から出どころを確認できます。

企業規模の区分

方針の策定率は、大企業と中小企業に分けて示されています。日本の大企業は約56パーセント、日本の中小企業は約34パーセントです (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書 (概要)』(令和7年))。白書の区分に従った数値であるため、自社がどちらに当たるかは、白書の定義を確認したうえで当てはめます。

割合の分母に注意する

懸念事項の割合は、複数の項目を挙げられる形式で集計されています。日本で最も多かった「効果的な活用方法がわからない」が30.1パーセント、「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が27.6パーセント、「ランニングコストが掛かる」が24.9パーセント、「初期コストが掛かる」が22.1パーセントと、いずれも3割前後で並びます (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』第1部第1章第2節 図表Ⅰ-1-2-15 (令和7年))。

合計が100パーセントにならないのは、1社が複数の懸念を挙げているためです。ここを誤って「7割の会社は懸念がない」と読むと、説明が成り立たなくなります。項目ごとの割合として見るのが正しい読み方です。

方針の策定率については、2024年度調査で約50パーセント、2023年度調査で約43パーセントと、年次による比較ができる形で示されています (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書 (概要)』(令和7年))。次の章では、懸念事項の内訳を項目別に見ていきます。

懸念事項として挙げられている項目

白書では、生成AIの導入にあたっての懸念事項が項目別に示されており、情報漏えいや出力の正確性に関する項目が並びます。上位の項目はいずれも3割前後で、どれかが突出しているわけではありません。

項目の並び方

日本の回答では、次の順に並んでいます (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』第1部第1章第2節 図表Ⅰ-1-2-15 (令和7年))。

懸念事項 割合
効果的な活用方法がわからない 30.1%
社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある 27.6%
ランニングコストが掛かる 24.9%
初期コストが掛かる 22.1%

最も多い項目が「効果的な活用方法がわからない」であることは、導入の相談を受ける立場から見ても実感と合います。危険だから止めているのではなく、どこに使えば効くのかが決まらないまま止まっている状態です。

情報漏えいに関する懸念の位置

「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」は27.6パーセントで、2番目に挙げられています (同上)。1番目との差は2.5ポイントであり、ほぼ並んでいると見るのが妥当です。

この項目は、対策の形がはっきりしているという点で他と性質が違います。活用方法が分からないという懸念は、使ってみる以外に解消の手がありません。一方で情報漏えいの懸念は、入力してよい情報の範囲を決め、使うツールのデータの取り扱いを確認するという作業に分解できます。後の章でその手順を扱います。

グラフで見ると分かること

この4項目を横棒グラフにすると、棒の長さがほぼそろった図になります。上位の項目が3割前後で並ぶため、「最大の懸念はこれだ」という読み方はできません。図を社内で示すときは、順位ではなく「どれも3割前後で、特定の懸念だけが突出しているわけではない」という点を添えます。

コストに関する2項目 (ランニングコストが24.9パーセント、初期コストが22.1パーセント) を合わせて見ると、費用の話も活用方法やセキュリティと同じ重さで並んでいることが分かります。導入の検討では、この3つの論点を同時に扱う必要があるという示唆になります。

方針の策定状況を企業規模別に見る

活用方針の策定率は企業規模によって差があり、規模が小さいほど低い傾向が示されています。全体の策定率は49.7パーセントで、前年度調査の42.7パーセントから上がっています (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書(概要)』(2025年7月))。

規模別の差

規模別の数値は次のとおりです。

区分 生成AI活用方針を定めている割合
大企業 約56%
中小企業 約34%
全体 (当年度) 49.7%
全体 (前年度調査) 42.7%

大企業は約56パーセント、中小企業は約34パーセントです (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書|企業におけるAI利用の現状』(令和7年))。差は20ポイント以上あり、全体の数値は大企業側に引かれた形になっています。自社の立ち位置を見るときは、全体の49.7パーセントではなく、中小企業の約34パーセントと比べるほうが実態に近くなります。

方針がない状態で起きること

同じ白書では、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した企業の割合は55.2パーセントです (同上)。方針を定めている企業が約50パーセント、利用している企業が55.2パーセントであることを並べると、方針がないまま使っている企業が一定数いる形になります。

参考として、日本における生成AIの個人利用率は26.7パーセントです (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書|個人におけるAI利用の現状』(令和7年))。会社としての利用の広がりと、個人の利用の広がりには差があります。

方針がない状態で現場が使い始めると、何を入力してよいかの判断が個人に委ねられます。前の章で見たとおり、情報漏えいへの懸念は27.6パーセントの企業が挙げている項目です。懸念を持ちながら線を引いていない状態が、数値の上では見えてきます。

グラフで見ると分かること

大企業と中小企業の2本を並べた棒グラフにすると、20ポイント以上の段差が視覚的に出ます。社内で示すときは、この段差に加えて、全体の数値が前年度から7ポイント上がっていることを併記します。方針を作る会社が増えている流れの中で、中小企業の水準が3社に1社であるという2つの事実を同時に見せると、判断の材料になります。

中小企業への示唆

懸念を挙げる会社が多く方針を定めた会社が少ないという状態は、懸念の解消を待ってから方針を作る順序になっていることを示しています。順序を入れ替えるのが現実的です。

懸念の解消より先に線を引く

最も多い懸念は「効果的な活用方法がわからない」でした。これは、使ってみる以外に解消の手がない種類の懸念です。一方で、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した企業は55.2パーセント、活用方針を定めている中小企業は約34パーセントです (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書|企業におけるAI利用の現状』(令和7年))。

この2つを並べると、使い始めてから方針を作る順序のほうが実際に多く起きていると読めます。であれば、最初から短い線を引いたうえで試す形にしたほうが、後から追いつく必要がなくなります。

情報漏えいの懸念は確認する対象に変えられる

情報漏えいへの懸念は、2つの作業に分けると扱えるようになります。

  1. 入力してよい情報の範囲を決める (顧客名、取引条件、未公開の数値を含めるかどうか)
  2. 使うツールが入力した内容をどう扱うかを確認する (学習に使われるか、どこに保存されるか)

この2つはどちらも調べれば答えが出る作業で、使ってみないと分からない種類の問いではありません。懸念として抱えたままにするより、確認して記録に残すほうが早く片が付きます。確認の手順は次の章で扱います。

規模が小さいほど短い文書で足りる

方針の策定率が大企業で約56パーセント、中小企業で約34パーセントという差は、作る文書の分量の差でもあります (同上)。大企業の方針文書を縮めて使おうとすると、自社に関係のない項目が並び、作成が止まります。

中小企業であれば、入力してよい情報の範囲、使ってよいツールの一覧、困ったときの相談先の3点を1ページに書いたものから始めても、方針としては成り立ちます。全体の策定率が前年度の42.7パーセントから49.7パーセントへ上がっている流れの中で (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書(概要)』(2025年7月))、自社も短い文書から始める判断が取れます。利用ルールの具体的な作り方は別の記事で扱います。

懸念を確認項目に置き換える手順

情報漏えいへの懸念は、入力してよい情報の範囲と、データの保管場所の確認という2つの作業に分けると扱えるようになります。どちらも調べれば答えが出る作業で、使い続けながら決めることができます。

  1. 入力してよい情報の線を決める (所要半日) 顧客名や取引条件、未公開の数値、人事に関する情報を入力してよいかどうかを、業務ごとに決めます。迷う項目は「入力しない」側に置いて始めます。つまずきやすい点は、禁止事項だけを並べてしまうことです。使ってよい場面を具体的に書いておかないと、現場は使わなくなります。
  2. 使うツールの保管場所を確認する 入力した内容が学習に使われるか、どこに保存されるかを、提供元の公開文書で確認します。個人情報保護委員会は令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公表しており、生成AIサービスを利用する際の留意点が示されています (出典: 個人情報保護委員会『生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について』(令和5年))。
  3. 確認できない項目を記録に残す 公開文書に書かれていない項目は、提供元に照会するか、確認できていない項目として記録に残します。空欄のまま進めるのと、確認できないと分かった状態で進めるのは別です。後者であれば、社内でその前提を共有したうえで使えます。

参照できる国の枠組み

社内の方針を書くときに参照できる枠組みも公表されています。総務省と経済産業省は令和8年3月31日に「AI事業者ガイドライン」第1.2版を公表しています (出典: 総務省・経済産業省『AI事業者ガイドライン (第1.2版)』(令和8年))。自社の方針をゼロから考えるのではなく、このガイドラインの項目立てを見ながら、自社に関係のある項目だけを抜き出す進め方ができます。

3つの作業の関係

上の3つは、順番に並んでいるというより同時に進めるものです。線を決めなければ何を確認すべきかが決まらず、確認してみると線を引き直す必要が出てきます。1回で完成させようとせず、3か月後に見直す前提で短く作るほうが進みます。

データの保管場所をどう確認するかという手順そのものは、別の記事で詳しく扱います。

数字を社内の説明に使うときの注意

白書の数値は、自社の状況を説明する材料にはなりますが、他社がやっているからという理由づけには向きません。何を決めるための数字なのかを添えて示します。

引用するときの書き方

社内の資料に転記するときは、出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』(令和7年) の形で、数値のすぐ横に出典と年次を書きます。概要資料から引いた数値と、本文の図表から引いた数値が混ざるため、どちらから取ったのかも併記しておくと、後から確認するときに迷いません。

割合をそのまま丸めないことも大切です。49.7パーセントを「約5割」と書き換えると、前年度の42.7パーセントとの差が見えにくくなります。元の数値を書き、必要であれば括弧で補足します。

年次の更新に備える

白書は毎年公表されるため、ここで引用した数値は次の版で置き換わります。資料を作るときは、数値を1か所にまとめ、更新のときに差し替える場所が分かるようにしておきます。

また、方針の策定率は前年度の42.7パーセントから49.7パーセントへ上がっています。上がっている項目については、次の版でさらに動く可能性があるため、「現時点の数値」であることを明記します。

数字の使い道を1行添える

他社の割合を示すだけでは、社内の判断は動きません。示すときは、次のような1行を添えます。

  • 中小企業の約34パーセントしか方針を定めていないため、今作れば遅れていない
  • 利用している企業は55.2パーセントで、使う前提で線を引く必要がある
  • 懸念の上位が3割前後で並ぶため、1つだけ対策しても片付かない

当社でのご相談の受け方

当社では、生成AIの利用について社内の線を引くところから、使うツールのデータの取り扱いの確認までを伴走する形でご相談をお受けしています。すでに現場が使い始めている状態からでも、実態の整理から着手できます。

よくあるご質問

この記事に関して多い質問と回答をまとめます。

生成AIの導入で最も多い懸念は何ですか

日本の回答では「効果的な活用方法がわからない」が30.1パーセントで最も多く、次に「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」が27.6パーセントでした (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書』第1部第1章第2節 図表Ⅰ-1-2-15 (令和7年))。上位の項目はいずれも3割前後で並んでおり、特定の懸念だけが突出しているわけではありません。

社内の活用方針を定めている企業はどれくらいありますか

全体では49.7パーセントで、前年度調査の42.7パーセントから上がっています (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書(概要)』(2025年7月))。規模別では、大企業が約56パーセント、中小企業が約34パーセントです (出典: 総務省『令和7年版情報通信白書|企業におけるAI利用の現状』(令和7年))。

方針を作らずに使い始めるとどうなりますか

何を入力してよいかの判断が個人に委ねられます。何らかの業務で生成AIを利用していると回答した企業は55.2パーセントで、方針を定めている企業の割合を上回っています (同上)。方針がないまま使っている状態は、統計の上でも一定数あると読めます。

情報漏えいの懸念はどう確認すればよいですか

入力してよい情報の範囲を決める作業と、使うツールが入力した内容をどう扱うかを確認する作業に分けます。個人情報保護委員会は令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公表しており、利用時の留意点が示されています (出典: 個人情報保護委員会『生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について』(令和5年))。

統計はどこで最新の数字を確認できますか

総務省の情報通信白書のページで公開されています。白書は毎年公表されるため、この記事の数値は令和7年版のものです。社内の資料で使う場合は、最新版が出ていないかを確認してから転記します。

方針の作成を手伝ってもらえますか

当社では、入力してよい情報の線引きと、使うツールのデータの取り扱いの確認から伴走する形でご相談をお受けしています。すでに現場が使い始めている状態でも、実態の整理から着手できます。

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監修: 株式会社ノーティックラボ 代表(AIエンジニア)
本記事はAIを活用して制作しています

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