技術2026.09.22·8 min read·Nortiq Labs

障害福祉の経営情報報告|期限と未報告減算の要点

障害福祉の経営情報報告は何から始める?

まず自事業所が報告対象かを確認し、直近の決算資料と職員の給与・人数の資料を揃えてから、障害福祉サービス等情報公表システムに登録します。順番を逆にして先にシステムを開くと、手元に数値が無く入力が止まります。

経営情報の報告とは、事業所の収益や費用、職員の人数や給与の状況を、国の情報公表システムへ登録する手続きです。WAM NETの「障害福祉サービス等情報公表システム 主な変更点について 2025年度 2025年8月」によれば、この登録機能が追加され運用が始まったのは2025年8月です。事業者向けの操作説明書も、経営情報の登録手順を含む第1.7版(2025年8月)に更新されています。

対象になる事業者の範囲

報告の対象は、障害者総合支援法第76条の3第1項および児童福祉法第33条の18第1項に規定する対象事業者のうち、基準日より前に指定障害福祉サービス等を提供している事業者です。出典は「令和7年度大阪市障がい福祉サービス等情報公表事務に関する実施要領」です。

注意したいのは、対象の広さです。従来、財務状況等の報告は一部の法人に限られていました。この制度では原則としてすべての指定事業所が対象になります。「うちは小規模だから関係ない」という判断は成り立ちません。

着手前に揃える3種類の資料

御社が最初に用意するのは、次の3種類です。

資料 具体例 どこにあるか
決算資料 貸借対照表、損益計算書にあたる数値 会計ソフト、顧問の会計事務所
職員の資料 職種別の職員数、給与の状況 給与計算ソフト、賃金台帳
事業所の基本情報 名称、所在地その他 指定申請時の控え

いずれも新たに作る書類ではありません。既にある資料を報告様式の項目に合わせて並べ替える作業です。

報告までの全体の流れ

  1. 自事業所が対象かを所管自治体の案内で確認する(所要時間の目安: 30分)
  2. 上の3種類の資料を揃える(つまずきやすい点: 顧問の会計事務所への依頼は日数がかかるため最初に声をかけます)
  3. 情報公表システムのIDとパスワードで入れるかを確認する(つまずきやすい点: 担当者の交代でログイン情報が不明になっている事例が目立ちます)
  4. 操作説明書に沿って経営情報を入力し、登録する(所要時間の目安: 半日)

実務で先に片付けたいのは、3のログイン確認です。期限の直前に発覚すると、再発行の手続きだけで数日を要します。報告する項目の中身は次のセクションで詳しく見ていきます。

経営情報として報告する項目は?

報告するのは、事業所の基本情報、職種別の職員数および職員給与の状況、事業所の収益および費用の内容の3系統です。出典は障害福祉サービス等情報公表システムの操作説明書と、栃木県「障害福祉サービス等事業者における経営情報の見える化について」です。

言い換えると、会計情報としては貸借対照表や損益計算書にあたる数値が、運営実態としては職員の給与や従業者数のデータが求められます。決算書と賃金台帳の中身を、指定の項目に沿って書き写す作業だと考えてください。

系統 報告する内容 手元の元資料
基本情報 事業所または施設の名称、所在地その他 指定申請時の控え
職員の状況 職種別の職員数、職員給与の状況 賃金台帳、給与計算ソフト
経営の状況 事業所または施設の収益および費用の内容 決算書、会計ソフト

基本情報として求められるもの

基本情報は、事業所または施設の名称、所在地その他の情報です。既に情報公表システムへ登録済みの内容と重なる部分があります。

確認したいのは、登録済みの内容が現況と合っているかです。移転や名称変更があったまま更新されていないと、経営情報だけ新しく基本情報が古い状態になります。

職員数と給与の状況

職員については、職種別の職員数と職員給与の状況を報告します。職種別という点が要点です。事業所の合計人数だけでは足りません。

実務でつまずくのは、兼務している職員の扱いです。サービス管理責任者と生活支援員を兼ねる職員をどちらで数えるかは、様式の定義に従って判断します。迷ったら所管自治体に確認するのが確実です。

収益および費用の内容

収益および費用は、事業所または施設の単位で報告します。法人全体の決算数値をそのまま貼れば済むとは限りません。

複数のサービスや事業所を運営している法人では、法人全体の決算書から事業所単位へ分ける作業が必要になります。この按分の考え方は、つまずきやすい点として後のセクションで改めて取り上げます。

なお、報告した経営情報が事業所名とセットで公表されるわけではない点は、御社の懸念に直結するため先に触れておきます。栃木県および厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度について」によれば、経営情報は情報公表システム上のデータベースを用いてグルーピングした分析結果として公表され、個人や個別事業所が特定される形では公表されないとされています。制度の目的は、国が毎年度データを収集し、実態に即した報酬体系の検討に用いることとされています。

報告期限はいつまで?経過措置はある?

経営情報は毎会計年度終了後3か月以内の報告が必要で、最初の報告となる令和6年度決算情報には令和8年3月31日という経過措置の期限が設けられています。出典は栃木県「障害福祉サービス等事業者における経営情報の見える化について」と、枚方市「障害福祉サービス等情報公表制度における経営情報の報告に関するシステムの運用開始に係る対応等について」です。

つまり、当面の期限と来年以降の期限は別物です。ここを混同したまま来年度を迎えると、報告済みのつもりで未報告になります。

対象 報告する決算 期限
最初の報告(経過措置) 令和6年度決算情報 令和8年3月31日
令和8年度以降 各会計年度の決算情報 毎会計年度終了後3か月以内

通常年度の期限の数え方

通常年度の期限は、会計年度が終わった日から3か月以内です。3月31日で年度を締める法人であれば、6月末が目安になります。

ここで効いてくるのが決算の確定時期です。決算が固まってから報告項目へ並べ替える時間を見ておかないと、期限の直前に集計と入力が重なります。顧問の会計事務所に依頼する場合は、決算作業の依頼と同時に報告用の数値も頼んでおくと手戻りが減ります。

最初の報告にあたる経過措置の期限

最初の報告は、令和6年度の決算情報を令和8年3月31日までに提出します。通常年度の3か月以内という数え方とは異なる、経過措置としての期限です。

注意したいのは、令和8年度以降の扱いです。枚方市および栃木県の案内によれば、令和8年度以降は毎年度の報告が必要で、未報告の場合は報告期限の翌月から減算の対象になるとされています。期限を過ぎてから報告すれば免れる、という性質のものではありません。

  1. 自法人の会計年度の終了日を確認する(所要時間の目安: 5分)
  2. そこから3か月後の日付を、来年以降の期限として社内の年間予定に書き込む(つまずきやすい点: 担当者の手帳ではなく、法人の年間スケジュールに載せます)
  3. 経過措置の期限である令和8年3月31日を、直近の締切として別に管理する(つまずきやすい点: 通常年度の期限と同じ欄に書くと取り違えます)

減算そのものの中身は、次のセクションで詳しく見ていきます。

情報公表未報告減算とは?

情報公表未報告減算とは、情報公表の対象となるサービス等情報の報告を適切に行っていない場合に、所定単位数から一定割合が減算される仕組みです。兵庫県「障害福祉サービス等情報公表制度」によれば、この減算が新設されたのは2024年4月です。

減算という言葉のとおり、影響は報酬に直接及びます。加算を1つ取り逃すのとは性質が違い、そのサービスの所定単位数そのものが目減りします。

減算が適用される条件

適用されるのは、情報公表対象サービス等情報の報告を適切に行っていない場合です。報告そのものを出していない場合はもちろん、内容が要件を満たしていない場合も含まれます。

経営情報の報告が加わったことで、確認すべき対象が増えた点に注意してください。基本情報や運営情報を毎年更新していても、経営情報が未報告であれば対応済みとは言えません。

減算が始まる時期の考え方

減算が始まる時期は、期限を過ぎたかどうかで決まります。枚方市および栃木県の案内によれば、令和8年度以降の報告については、未報告の場合は報告期限の翌月から減算の対象になるとされています。

ここが実務上の分かれ目です。報告を忘れて数か月が経過すると、その間の報酬が継続して目減りします。期限の直前に慌てるのではなく、決算の確定と同時に報告まで終える段取りにしておくのが安全です。

自事業所に適用される率の確認先

減算率は一律ではありません。提供するサービスの種類に応じて、所定単位数の5%または10%とされています。

ただし、サービス種別ごとの内訳について本記事で確認できたのは解説記事の範囲です。御社に適用される率は、必ず次の一次資料で確認してください。

確認先 確認する内容
厚生労働省の告示・通知 減算の根拠と、サービス種別ごとの率
所管自治体の案内 自事業所の指定サービスに対する適用の有無と手続き
障害福祉サービス等情報公表システム 自事業所の報告状況が登録済みになっているか

実装者の立場から1つ付け加えます。3つ目の「報告状況が登録済みになっているか」の確認は、入力を終えた直後ではなく、後日あらためて画面上で確かめてください。入力画面で保存したつもりでも、最終的な登録の操作が済んでいなければ未報告のままです。この種の取り違えは、業務システムの申請フローで最も起きやすい箇所です。

報告作業でつまずきやすい点は?

多くの事業所がつまずくのは、会計ソフトの勘定科目と報告様式の項目が一対一で対応しないところと、複数事業所を運営している場合の按分です。どちらも決算書をそのまま写せば終わる作業ではありません。

先に結論を書くと、この2点は初回に一度だけ考え方を決めてしまえば、翌年以降は同じ手順で片付きます。逆に、決めずに毎年その場で判断すると、年によって数値の作り方が変わります。

勘定科目と報告項目の読み替え

会計ソフトの勘定科目は、法人が自由に細かく作れます。一方で報告様式の項目は決まっています。この粒度の差が読み替えの手間になります。

対処はシンプルです。勘定科目の一覧を出力し、報告項目のどこに入るかを1行ずつ書き添えた対応表を作ります。

  1. 会計ソフトから勘定科目の一覧を出力する(所要時間の目安: 15分)
  2. 報告項目ごとに、含める勘定科目を並べた対応表を作る(つまずきやすい点: どの項目にも当てはまらない科目が必ず残ります。保留欄を作って後でまとめて判断します)
  3. 対応表にもとづいて集計し、合計が決算書と一致するか突き合わせる(つまずきやすい点: 一致しない場合、二重計上か計上漏れのどちらかです)

この対応表は、翌年以降そのまま使い回せます。作る価値があるのは、1回限りの作業ではないからです。

複数事業所を運営している場合の按分

収益および費用は事業所または施設の単位で報告します。複数のサービスや事業所を運営している法人では、法人全体の決算書を事業所単位へ分ける必要があります。

難しいのは、直接ひも付かない費用です。管理者の人件費、本部の家賃、共用の車両費などは、どの基準で分けるかを先に決めます。利用者数で分けるのか、職員数で分けるのか、延べサービス提供時間で分けるのかという選択です。

大切なのは、基準そのものの正しさより、決めた基準を記録し翌年も同じ基準を使うことです。基準が年ごとに変われば、国が集めたデータの上でも御社の経年の数値が動いてしまいます。

入力の差し戻しを防ぐ事前確認

入力を始める前に、次の3点を確認しておくと差し戻しが減ります。

確認する項目 見落としたときに起きること
情報公表システムのログイン情報 期限直前に再発行の手続きが必要になる
基本情報が現況と合っているか 経営情報だけ新しく基本情報が古い状態になる
数値の単位(円か千円か) 桁違いの数値を登録してしまう

単位の取り違えは、システムを作る側から見ても最も頻度の高い入力事故です。様式に書かれた単位を声に出して確認してから入力する、という単純な手順が有効です。

毎年の報告を仕組みにするには?

来年以降も同じ作業が毎年発生するため、決算後に人が集計し直すのではなく、報告項目に合わせた集計の型を先に決めておくことが近道です。初回に作った対応表と按分基準を、翌年も使える形で残すという意味です。

福祉分野では、制度対応が単発の提出で終わらず、記録と共有の仕組みを前提に設計される流れが続いています。隣接する介護保険の例を1つ挙げます。公益財団法人介護労働安定センターの解説資料「生産性向上のための委員会と生産性向上推進体制加算 解説資料 Ver.3.0」によれば、生産性向上推進体制加算 (I) では、1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータをオンラインで提出することが必要とされています。委員会の議事録と効果を示すデータの両方を、算定のたびに根拠として出せる状態が求められる設計です。

障害福祉の経営情報報告も、毎年度データを出し続ける点は同じです。提出のたびに一から作る運用は、いずれ担当者の負担として跳ね返ります。

報告項目に合わせた集計の型を決める

型を決めるとは、報告項目の側から会計の入り口を整えることです。具体的には次の3つを固定します。

決めること 固定する内容
勘定科目と報告項目の対応 どの科目をどの報告項目に含めるか
事業所単位への按分基準 共通費用を何を基準に分けるか
集計の担当と時期 誰が決算確定後の何日以内に集計するか

この3つが決まっていれば、翌年の作業は数値を入れ替えるだけになります。

記録と共有を日常業務の側に寄せる

決算後にまとめて集計するのが重いのは、1年分の判断を短期間に繰り返すからです。事業所ごとの費用の区分を、日々の会計入力の時点で付けておけば、期末の作業は集計だけになります。

会計ソフトに事業所や部門を区分する機能があれば、まずそれを使います。無い場合でも、摘要欄の書き方を統一しておくだけで、後からの仕分けはかなり楽になります。

担当者が変わっても回る手順書の残し方

手順書に書くべきは、操作の順番より「なぜその判断にしたか」です。按分基準を利用者数にした理由、保留にした勘定科目をどう扱ったかという判断の記録が、翌年の担当者を助けます。

御社の事務担当が1人か2人という体制であれば、この属人化が最大のリスクです。担当者の退職と報告期限が重なると、判断の根拠ごと失われます。

当社は、会計や記録のデータを報告様式の形へ集計する仕組みづくりを支援しています。既存の会計ソフトや記録ソフトはそのまま使い、集計と出力の部分だけを自動化する進め方が現実的です。御社の現在の運用で何を仕組み化できるかは、無料診断でご確認いただけます。

よくあるご質問

この記事に関して多い質問と回答をまとめます。制度の詳細は所管自治体の案内もあわせてご確認ください。

経営情報の報告は、すべての障害福祉サービス事業所が対象ですか?

原則としてすべての指定事業所が対象です。報告の対象は、障害者総合支援法第76条の3第1項および児童福祉法第33条の18第1項に規定する対象事業者のうち、基準日より前に指定障害福祉サービス等を提供している事業者とされています。出典は「令和7年度大阪市障がい福祉サービス等情報公表事務に関する実施要領」です。

従来、財務状況等の報告は一部の法人に限られていました。規模が小さいことを理由に対象外になる仕組みではありません。

令和6年度の決算情報は、いつまでに報告すればよいですか?

令和8年3月31日までです。これは最初の報告にあたる経過措置の期限で、枚方市の案内に示されています。

通常年度の期限は、毎会計年度終了後3か月以内です。3月31日で年度を締める法人であれば6月末が目安になります。2つの期限は別のものとして管理してください。

報告した経営情報は、事業所名とあわせて公表されますか?

個別の事業所が特定される形では公表されないとされています。栃木県および厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度について」によれば、経営情報は情報公表システム上のデータベースを用いてグルーピングした分析結果として公表されます。

制度の目的は、国が毎年度データを収集し、実態に即した報酬体系の検討に用いることとされています。個々の事業所の経営状況を並べて見せるための制度ではありません。

情報公表未報告減算は、いつの報酬から適用されますか?

令和8年度以降の報告については、未報告の場合は報告期限の翌月から減算の対象になると案内されています。減算そのものは2024年4月に新設されました。出典は兵庫県「障害福祉サービス等情報公表制度」です。

減算率は提供するサービスの種類に応じて所定単位数の5%または10%とされています。御社に適用される率は、厚生労働省の告示・通知と所管自治体の案内で確認してください。

顧問の会計事務所に報告を代行してもらうことはできますか?

代行の可否は契約内容によります。実務では、会計事務所に決算資料と報告項目に合わせた集計を依頼し、システムへの入力は事業所側で行う分担が取りやすい形です。

依頼する場合は、決算作業の依頼と同じタイミングで声をかけてください。決算が固まってから追加で頼むと、期限までの日数が足りなくなります。

報告そのものは年1回でも、集計の準備は日々の会計入力から始まっています。どこを仕組みにすれば毎年の負担が減るかについては、お問い合わせから個別にご相談いただけます。

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監修: 株式会社ノーティックラボ 代表(AIエンジニア)
本記事はAIを活用して制作しています

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